●協同組合運動の発展を目的に
設立総会は東京大学・弥生講堂で開催された。総会には(1)研究会規約、(2)運営要領、(3)理事・監事選出、(4)初年度の事業計画と予算、が設立準備会から議案として提出され、それぞれ原案どおり決まった。 規約では同会の目的として「農業協同組合に関する研究を行い、日本農業、協同組合運動の発展に寄与すること」を掲げ、農村の協同組合活動の調査・研究、講演会の開催、優れた研究業績の表彰などを事業として行う。 初年度の事業計画では、設立総会後の記念シンポジウムの後、この秋に農協活動に関するテーマで第2回シンポジウムを開催する。シンポジウム以外にも研究会を開催する予定もある。そのほか、講演会などへの講師派遣や調査にも取り組む。
●農協運動テーマに調査・研究を具体化
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梶井功 前東京農工大学長 |
理事にはJA組合長らJAグループ関係者、生産者、研究者など26名、監事は2名を選出した。総会終了後に開かれた理事会の互選で同研究会会長に前東京農工大学長の梶井功氏を選んだ。 梶井会長は「農協関係者、生産者もメンバーになった研究会となった。いい方向に向けて活動したい」と語り、5月に理事会を開催し農協をテーマにした具体的な研究内容や活動方針などを決めたいとした。 また、理事のひとりJAいわて中央の熊谷健一常務は参加者に「みなさんの声をいただいて活動を考えたい。小さなこと、あるいはできるだけ早く取り組むべきと思われることなどから始め、意義ある研究会にしたい」と呼びかけた。
●「記念シンポ」に250名 現場からの発言多く
総会終了後は、設立記念シンポジウム「新基本計画と農協活動の課題」を開催。八木宏典食料・農業・農村政策審議会会長、田代洋一横浜国立大学大学院教授、阿部長壽JAみやぎ登米組合長がそれぞれの立場から新基本計画についての考えを報告。梶井会長の司会で参加者との意見交換を行った。 東北から九州まで全国各地から集まったJA役職員をはじめ、生協、消費者団体、JA全国連関係者、研究者など合わせて約250名の参加者は熱心に議論した。 JA関係者など現場から問題点を指摘する声が相次ぎ、とくに基本計画の軸である食料自給率向上は、国民的な課題であることから「JAが中心になった幅広い運動展開が重要」であることが強調された。 また、地域農業の維持のため担い手育成や集落営農の組織化がJAの課題となることも指摘されたほか、指摘が多かったのは「農協運動論の再構築」。組織改革や経済事業改革を成功させるには運動がともなわなければならないことから、同研究会の活動テーマとしては、と参加者から期待が寄せられた。
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