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農業協同組合研究会 |
2007年度第2回
課題別研究会 司会:横浜国立大学大学院 田代洋一教授 |
「品目横断的経営安定対策を通じた農業構造改革の到達点と今後の課題」 集落営農が極めて大きな役割を果たしながら農業構造改革が進んでいる。その実態の正確な認識を踏まえてJAとしてはどうするかをJA出資農業生産法人を見ながら考えたい。 「JA出資農業生産法人の多様な類型と今後の課題」 JA出資農業生産法人を(1)個別農業経営的(農業経営中心)(2)農作業受託会社的(3)JA現業部門会社的(事業中心)(4)集落経営体的(出資者多数、特定地域で事業)(5)総合農企業的(多様な事業の兼営が特徴)(6)品目横断的経営安定対策対応型(補助金の受け皿機能が第一義的要求)の6類型に分類してみた。 耕作放棄地や法人タイプも論点に
谷口教授と李研究員の報告のあと、会場からは「品目横断対策の対象は5品目に限られ、北海道と北部九州だけを対象にしたゲタ対策といってもよいくらいの、とんでもない地域選別だ。そうした中で、農地法があるから構造改革が進まないという元農水事務次官もいる状況を重視すべきだ」と農地問題について報告の補足を要望する意見が出た。 谷口教授は「財界などの農地制度改革論に対する農業側の反論には、耕作放棄地の拡大という大きな弱点がある」とし、先進JAが最初にJA出資農業生産法人の設立を試みたのは耕作放棄地の増大に直面したからであり、それは1990年代初頭の農業経営基盤強化法施行や「新政策」以前のことであるなどと説明した。 一方、担い手による面積カバー率の意味は何か、食料自給率からすれば麦や大豆の生産が増えたのかどうかということのほうに意味があるのではないか、集積が進んでも収益性が下がる県があるのは問題だ、などの意見も出た。 出資法人の収益性については▽育苗とか機械のリースなどの事業が必要だ▽もうけようと思えば、やはり規模だ。40ha以上は必要だ▽いや、そうは思わない。多角化とか直売所などの地産地消、また公益的機能の導入などのやり方がある、といった討論があった。 米価の低落は品目横断対策のせいだという批判をめぐっては「そういう説は議論を混乱させる」という意見と「諸悪の根源は品目横断対策にある。政策の対象から外れた農家は、自由にコメを作ろうという気になった」という意見もあった。 また、「一律的な国の政策に従うのではなく地域の農業構造全体を把握して耕畜連携の循環型農業を展開している」との紹介もあった。 報告は品目横断的対策対応型のJA出資法人には2つのタイプがあるとしたが、滋賀県のJAグリーン近江は、それらとは別にコメ政策もしくは生産調整に対応するタイプの特定農業団体などの集落営農組織をつくって、いろいろな補助金の受け皿にしていると実情を語った。 いくつかのJAの発言では、類型分類の報告にあるように集落営農に対して出資するなど様々なタイプの出資法人があるとの実態が紹介された。谷口教授はリストラ型もあるという。JAの赤字事業を法人に移管して効率化を図るものだ。 全農との関係でコメを直接販売していないJAでは出資法人をつくって直接販売の実験をしてほしいという組合員の要望もあるという。法人にはそういった役割もあるわけだ。 JAいわて花巻の場合は集落営農を育て、すぐにでも法人化できるように経理だけはきちんとやり、段階を踏んで法人化していくと話す。 栃木ではJA出資に対する組合員の抵抗感のようなものがあるという。 今回の研究会には農薬メーカー大手2社の幹部も参加した。2氏は「農業構造の変化とJAの実態がどうなっているのかを基本的にしっかりと勉強して、どうすれば日本農業の発展に貢献できるかを考えようと思って参加した」と語った。 |
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(2007.12.27) |
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