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農業協同組合研究会

「農協改革の課題と第24回JA全国大会への期待」
担い手支援を軸にしたJA改革の課題は何か
「JAの多様化」から強みを生かした「JAの個性化」へ

農業協同組合研究会 第3回シンポジウム


 農業協同組合研究会(会長:梶井功東京農工大名誉教授)は4月15日、東京大学弥生講堂で第3回シンポジウム「農協改革の課題と第24回JA全国大会への期待」を開催した。このシンポはJA全国大会の成功を願い議案内容の批判的検討と改善提案を行うことが趣旨。議案策定プロジェクトチームのJA全中・比嘉政浩企画室長による大会議案素案の報告と小池恒男滋賀県立大教授の課題の指摘に続き、増田佳昭滋賀県立大助教授と先ア千尋JAひたちなか専務のコメントを皮切りに参加者も交えて熱心な討論が行われた。JA、県中央会、全国連関係者と研究者約180人が集まった。

第I 報告

「第24回JA全国大会の意義付けと大会議案の主要内容」
議案は役職員が共有する3年間の作戦書
JA全中 総務企画部企画室長 比嘉政浩氏

◆組合員の多様化に対応

比嘉政浩氏

 大会議案の位置づけを総論的に言えば「JAグループ役職員が共有する3か年の作戦書」であると思う。現状では残念ながらJAの組合員がしっかりと議案を組織討議するというあり方は構築できていない。組合員に対しては、それぞれのJAで取り組みを宣言し、約束するという位置づけがふさわしい。
 現段階の議案の素案では、「JAをとりまく情勢」の第1に、「組織基盤の弱体化と組合員の変化・多様化」を挙げた。昭和ヒト桁生まれのリタイアにともなう正組合員の減少や、担い手への農業生産の集中、土地持ち非農家の増大などをまとめて「弱体化」や「変化・多様化」と表現した。こうした組合員の変化に徹底して対応することが議案の大きなポイントとなる。
 ある県のデータでは、相続に伴う正組合員の継承率は概ね6割で、後継者がいないなどからJAを脱退する率が4割に及んでいる。
 また「他業態との競争激化とJA事業の伸び悩み」も挙げた。全国を8ブロックに分けてJA経営の収支をシミュレーションしてみたが、厳しい結果となっている。

◆担い手支援と地域貢献

 旧農業基本法は農産物や農業資材の流通を合理化するため農協を育成するとしていたが、小泉内閣の骨太方針は、流通合理化のために他業態と競争させるとしている。農協は小規模な農業者の協同活動を原点としているが、一方で政府の政策展開上の役割を果たすべく設立された面がある。政府はその位置づけを変えたということだ。しかし、JAは協同活動の原点を引き継ぎ、市場経済が中心となっているわが国社会の中で生きていくという認識を共有したい。
 「JAグループの使命」として「安心・安全な農産物を供給する」ことを掲げた。また、JAグループは担い手育成など農業生産のみに活動を絞るべきだなどの意見もあるが、使命はそれだけではないと考え、900万組合員を念頭に置き、「地域への貢献」も掲げている。
 そのうえで、「JAグループのビジョン」は地域によってJAが行く道は違うとしてJAの自主性・自立性を基本とした。また、JAは「自ら定める事業・活動分野につき高度な機能を発揮すること」という表現とした。全国連や連合組織の提起は平均点のようなものになりがちなので各JAが、より個性的にそこを乗り越えてほしいとの気持ちもこめられている。

◆新たな事業方式の創出

 では、向こう3年間に何をやるか。1つめのポイントは担い手育成。このままでは地域農業は崩壊するという危機意識のもと、品目横断的政策を契機に担い手育成に取り組むのがJAグループの基本姿勢だ。
 そのためには担い手に対応する新たな事業方式を生み出すことがテーマとなる。営農経済渉外担当を全国のJAに置いて体制を整え、全農がこれをバックアップする。
 回覧で肥料の予約を積み上げるような方式では大規模農家の利用は得られないので「個別事業対応」をする。その際、全農職員と同行推進したり、さらに大口要領を見直し、それでも足りなければ相対取引も検討するといった内容だ。
 安全・安心な農産物の提供では生産履歴記帳運動をしていないJAはないという段階にきた。しかし記帳はJAグループの販売事業を通る農産物のまだ半分程度とみられるので、これを徹底する。
 地域貢献では食農教育と高齢者福祉を挙げた。直売所などを含めて食農教育という言葉で捉えた。全JAでこれに取り組む。また助け合い組織なども含めて高齢者福祉と考えている。
 JAの決算状況が最も悪かったのは平成13年度で、以後は回復しているが、要因は事業管理費の抑制だ。貯金以外の事業は伸びていない。これをどう伸ばすかが課題だ。
 新たな事業展開については、まずは「担い手へ出向く」だ。担い手の金融・保証ニーズ対応では新たなサービスを提供する。全共連は担い手のリスクを軽減するための商品を検討している。
 販売事業では全農改革と連動して米穀・園芸事業を見直す。
 米穀は全農が共計コストを下げるなど機能で結集することが軸になっている。園芸の販売事業は県連主導型、JA主導型などにパターン化した。SS、Aコープ、農機、配送などはJAの機能の一部を全農に持たせることで効率化、高度化を図る。

◆組合員加入促進も課題

 信用事業では複数の事業方式を提示するが、具体策はJAバンク中期戦略の作成を待つことになる。全国のJAのうち約17%は信用事業が赤字で、小規模JAや市場に恵まれない地域では今後、フル装備の信用事業は難しいのではないかとの考えだ。
 組合員加入促進は事業にすぐつながる提起ではないが、わかりやすい活動として提起した。「加入して下さい」と勧めるためには自分たちのJAが地域にどんな貢献をしているかを問い直すことになるため現場で実を結びやすいと思う。
 その際、ガバナンスや意思反映の仕方などJAの根幹を問い返すような増え方をするかも知れない。例えば女性組合員が増えたのに理事は男性ばかりといった事態なら、構成員の変化に即した意思決定のあり方に変えていくべきことも提起している。


第II 報告

「JA改革の課題と大会議案の批判的検討」
担い手掘り起こしは農協らしい事業から
滋賀県立大学環境学部教授 小池恒男氏

◆経済動向とJAの危機認識

小池恒男氏

 今や、グローバル資本主義のもと世界の多国籍企業に伍して競争に勝ち抜き、経済一流国としての地歩をより強固なものとするためには、新自由主義しかない、ということになっている。対米国との従属関係での下では望むべくもないというペシミズムとコンプレックスから逃れることはできず、真の東アジア共同体など提案する資格すらないといわざるをえない現状がある。
 そういうなかで、協同組合がこの日本資本主義の展開方向にどう対処していくのかが大きな課題だ。
 現在の状況をどう認識するかという点では、「(WTO農業交渉での)関税引き下げ、財政赤字と構造改革のジリ貧農政」という問題と並んで重要なこととして食品流通業界で進む業界再編の動きをどう読むかということがある。
 私は3つの動きがあると思う。ひとつは、総合商社による川下の陣取り合戦ともいうべきもので、小売りへの出資拡大を通じて食品流通での川中・川上における自社取扱量の拡大だ。
 ふたつめは、セブン&アイ・ホールディングスが西武百貨店を傘下にもつミレニアムリテイリングを経営統合したこと。これはスーパー・CVS・百貨店・外食など7業種を包含する巨大小売りの誕生といわれている。この経営統合が意味するものは、飽和状態にある食品の需要と多様化に対応する新業態の模索だと指摘されている。
 三つめは、グローバリゼーションとローカリゼーションが併行して進んでいるため、地域格差拡大を背景に、分社化などを行って地方へ権限を委譲し地域密着で需要を掘り起こすという生き残り戦略の展開がみられることだ。
 こうした激しい食料食品流通業界の再編に対して、農業協同組合がどのようなポジショニングで事業展開をしていくのか。そして個性豊かな事業を展開していくかが非常に重要になる。そうしたことが議案書の始めになければならないのではないかと思う。

◆連合会の改革も急務

 大学生協の京都事業連合理事長をしているが、そこで取り組んできたことの1つに、減収・減益基調のもとでの事業拡大可能な人員配置の追求がある。単純な人減らしリストラではなく、連合職員を単協に振り向け事業の拡大に取り組んだ。ただ、このことで事業連合の商品力が落ちれば看過することはできないので、人をただ減らせばいいということではなく、連合会としての機能は死守することと合わせて改革をした。
 また二次組織である事業連合や三次組織の職員に求められる専門性の確保とその組織に求められるガバナンス問題が重要だと思う。
 経済事業の収支についても同様で、全農・経済連は黒字、単協は赤字という構造を長期にわたって放置してきたことについての痛みをどう考えるのかという問題ではないか。
 今回の米事業改革に対応して、全農宮城県本部は米穀販売部・集荷対策課・米穀課の3課体制を生産販売課・米穀課(共計担当)の2課にし、「販売は全農」ということにしたという。県本部は何をするのかといえば、経営所得安定対策や売れる米づくり対策に集中することにした。県本部職員には「交付金目当ての取り組みだけでいいのか」というシラケタ雰囲気もある。
 また、営農経済渉外の強化によるコスト削減と有利販売の取り組みが、担い手の掘り起こし・育成・支援・確保につながり、それは国民の願いでもあり、基本法が掲げる農政理念でもある安定供給の確保(自給率の向上)という目標実現にもつながるという、そういう農協職員の確信になっていないことも懸念される。

◆農政への対応と改革の課題

 担い手に絞り込んだ品目横断的経営安定対策については、客観的指標があること、理論的根拠があること、という2つの条件が基準設定には求められる。
 そういう意味では販売という基準がもっとも説得力をもつのではないか。その点では農協が事業を起こしそれを担い手を掘り起こすことにつなげるという本来の取り組みに戻らなければならない。
 また、担い手の絞込みという問題と同時に、対象品目の絞込みという問題がある。
 戦後農政の総決算というけれども、品目が限定されているため「俺たちには関係ない。良くなるものは何もない」という人がたくさんいる。農政の風化・空洞化だ。麦・大豆が適地の地域はいいが、飼料作が転作の5割を超える地域におけるところなどで、水田畜産の本格的な位置づけが重要だし、それをJAグループが提言することが重要ではないか。
 その点では、これまでの政治、行政への対応も問われる。
 たとえば、生産調整研究会での議論でSBS米の評価を巡り「価格形成への影響なし」という非科学的な立論に対しては、農協側委員は席を立って退出して欲しかった。また、「望ましい農業構造」の実現を前提にして、生産調整の「生産者・生産者団体が主役となるシステム」への移行に合意しているが、こんなファジーで情緒的なことで政策決定されてはかなわないと思う。
 今後の改革ではJAの適正規模を考えることも必要ではないか。例えば核となる事業の農産物販売は、組合員組織の適正規模から単協の規模を決める。そのうえで、直売所の単協間連携、産地間リレー出荷を展開する。
 一方、それより大きな金融・共済・生活事業については事業連合、広域農協などの形態を追求する。
 また、それより小規模の方が適正規模と思われる部門、例えば営農指導などは支所などのより小さい範囲に思い切って分権化するなどを考えてはどうか。


報告へのコメント(1)

多様化論の先にある連合会の姿、検討を
滋賀県立大学助教授 増田佳昭氏

増田佳昭氏

 今大会議案のキーワードは「担い手支援」、「JAの多様化」、「全農改革」ではないか。
 担い手支援ついてはうなづけるが、一方でこれでいいのかとも思う。日本の農業構造は大きく変わっていることは間違いなく、専業的な農家に生産のウエートがどんどんシフトしていることは間違いない。そこにJAの対応が不十分だったということを率直に認め、いわゆる担い手農家への事業のやり方を見直していくことを対外的に宣言するのは理解できる。
 しかし、農政との関係はどうなのか。たとえば、全農の「新生プラン」のベースは昨年12月に農水省に提出した「改善計画」だが、なぜ、そのまま新生プランとして総代会で了承されるのか。どちらに顔を向けているのかと言わざるを得ない。
 また、担い手の定義は、経営所得安定対策の対象農業者、認定農業者、その他県本部が認定するものとなっており、県本部の定義については全農理事会で承認ということになっている。
 しかし、そもそも地域の担い手を全国本部が了承しなければいけないものかどうか。組合員の要望をJAがどう受け止めるかがベースであるならば、地域の担い手をどう選定するかは各JAが判断をすることだろう。それは結果として政策の方向と同じになるかもしれないが、JAの主体性があってしかるべき。自立性、主体性がどれだけ確保されているのか、政策にすり寄りすぎではないかと思う。
 農政が掲げる担い手づくり方針に対置して、JAグループがいったい日本の農業をどうしようとしているのか、日本の農業の問題をどう捉え、どう対応していこうとしているのか、このビジョンがよく見えない。そこがもう少し高らかに宣言されるべきではないか。

◆連合会の機能再編

 JAの多様性については好感を持って受け止めている。どのJAも同じ路線で行くことはあり得ず、その違いを直視しようというのは非常に前向きだと思う。
 ただ、問題はこれまでの画一的な農協に対する施策との関係だ。たとえば、JAバンクシステムや支店の統廃合と多様化論がどう対応するのか。これを解くには、JAによってやれる事業とやれない事業に分けていかざるを得ないかもしれない。そうなると提起されているような事業譲渡という形で別に受け皿を求めることも選択肢になるが、このように多様化論の出口として何を描くのかを期待したい。それには連合会もビジョンづくりを本格化させなければならない。連合会の機能再編をこの先どう見通すのかということもポイントとして注目したい。


報告へのコメント(2)

JA批判にはしっかり反論を
JAひたちなか専務 先ア千尋氏

先ア千尋氏

 1967年に制定された農業基本構想と70年の生活基本構想は、これまでの農協大会のなかで優れた構想だと今も評価している。
 農業基本構想は日本農業の長期的展望を明らかにし、それに対処する国の政策のあり方について提言するとともに、組合員農家、農協の進むべき方向を明らかにした。この視点は今でも適用でき、これに照らし合わせて24回大会議案を検討するのがひとつの基準になるのではないか。
 もうひとつは生活基本構想とくらべてどうかという点だが、やはり組合員の暮らしをどうするのかをきちんと議案に盛り込むべきだと思う。全中が生活基本構想はもう古い、新しいものを作るというのなからそれでいいが、これまでの状況を見ていると生活構想は大幅に後退しているのではないか。
 やはり農家であっても暮らしが大事で、そのために農業があるということを忘れてはならないだろう。そして、座標軸は公益と共益であることを改めて強調したい。
 また、前回大会について開かれた大会になっていないと批判したが、これについては全中のホームページで大会議案をめぐる議論がすべて読めるため、かなり改善されたと評価したい。
 経済事業改革は今回も大きな課題だが、農協の赤字の原因は一体何かということを考えなければならない。農協は赤字で経済連、あるいは全農、メーカーは黒字という構造的な体質を変えない限りは直らない。経済事業改革はなされないと思う。
 また、農協が他の企業と違って優位性があるのは、組織活動、協同活動にある。そこが議案では弱いのではないか。

◆全体像を示した改革案を

 やはり、議案では日本農業のグランドデザインを示すべきであると思う。これは全農の新生プランも同じで、全体像を描いたうえで、全農はこの部分を担う、JAはここを担うという形がよく見えないと感じている。日本農業をどうするのか、どうしたいのかがなければ、対症療法にすぎないということになってしまう。 農協批判についても議案で取り上げているが、これまで全中もシンクタンクもほとんど反論していないのではないか。20年前のNIRA報告や前川レポートに対しては、大変な反論が出されていた。昨今のJA批判に対してはほとんど反論がないのはなぜか。


全体討論と座長の総括
国民合意形成めざした農政運動を
京都大学名誉教授 藤谷築次氏

藤谷築次氏

 座長の藤谷築次京大名誉教授は、今回の大会について「組織の内外に農協運動の現代的役割と対応方針を説得力あるかたちで明示できるか」、「農協運動の主体性とJAグループ役職員の運動への自信と意欲を取り戻せる契機となり得るか」がポイントだと指摘し、大会議案「素案」をこの2つの視点から議論したいと呼びかけた。
 報告とコメントを受けた全体討論では、増田氏が指摘した「担い手支援」、「JAの多様化」、「全農改革」や先ア氏が強調した「JA批判への反論」などが焦点になった。

◆担い手育成と地域振興

 素案では今後3年間の目標のひとつとして「担い手支援を軸とした地域農業振興」を掲げている。
 この点について出席者からは、「品目横断直接支払いの対象要件を満たすのは、県下で数戸。担い手を支援しようにも担い手がいない。とにかく集落営農の組織化を全面に掲げるしかない」との意見や「集落営農づくりで農地の貸しはがしを問題にする声も聞くが、むしろ農産物価格の低下で大規模農家が借地から手を引き耕作放棄につながっている」など現場の実態を指摘する声が出た。
 こうした意見について増田氏は「目的と手段が食い違っていないか。専業的農家が農業で生活していけるようJAが支援するのは理解できるが、一方、担い手がいない地域ではどうするかが明確ではない」と述べ、また小池氏も「交付金の受け皿づくりとしての担い手育成に振り回されすぎの印象を持つ」として農協本来の事業での担い手掘り起こしを強調した。
 そのほか、「2割の生産者が8割の農業生産を担っている」という実態を前提とする考え方に、賛否両論とともに「担い手以外の農家の農協への結集策をもっと明確に描くべき」といった意見も出された。
 こうした意見をふまえて比嘉氏は「今の政策が出される以前から2割の生産者が8割の生産を担っている実態だった。過去の大会でも担い手対応を強調したが現実の対応は不十分。今度の政策に問題がないわけではないが、今は政策転換を契機にこれまでやれなかったことをやる姿勢に立つことが妥当だと思う」と述べた。
 また、担い手育成を強調すると、「現場からは育成した担い手がJAから離れてしまう、そこをどうするのか」との問いかけに応えるために「議案ではJAグループの事業論を盛り込みセットで提起している」と議案の構成を説明、また、事業方式として担い手支援のための個別対応を掲げる一方、担い手以外にはこれまでの購買事業方式の「組織的対応」や地産地消など直売所活動の支援なども盛り込まれていることも強調した。

◆自らの取り組みの上で反論を

 JAの多様化への対応について、比嘉氏は例として信用事業で複数の事業方式を提示し、今後、信連、中金などへの事業譲渡なども検討していくことを説明した。ただし、これはJAからの信用・共済事業の分離を進めるものではなく、これまでの画一的な対応を見直し、ナンバーワン宣言などによってあくまでもJAの得意な事業を伸ばすなど、JAごとにビジョンを持って地域に貢献する方向性を打ち出したものと強調した。
 また、JA批判への反論については必要だが、「大会議案はまず自分たちが何をしていくかを作成すること。たとえば、安全・安心対策について生産履歴記帳に全JAで取り組むといった姿勢があってこそ発言に迫力が出るのではないか」と指摘するとともに、今回は消費者、マスコミ向け、組合員向けの議案解説パンフレットなども作成し、広く国民にアピールする予定にしていることも説明した。また、自給率向上の重要性についても今後の検討のなかで改めて盛り込んでいく方針も明らかにした。

◆座標軸の明確化が課題

 藤谷氏は、全体討論を受けて、農協改革は日頃からの取り組みが重要でそのための座標軸を明確にするため、現行のJA綱領を見直し「JA運動綱領」を新たに作成すること、日本の農業のグランドデザインを現在の農政路線へのアンチテーゼとして示し、それを支える国民合意形成をめざした新しい農政運動が求められていることなどを提起した。

(2006.4.24)


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