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特集 食と農を結ぶ活力あるJAづくりのために2007 |
◆「構造改革」がもたらした現実とは 7月の参院選での与党の歴史的大敗北の後も、そして安倍内閣総辞職(9月25日)、福田内閣発足(9月26日)とあわただしい政局転換の後も、不思議なことに、財界、政権与党、ジャーナリズムの「構造改革」継続の大合唱だけは変わらない。しかし不幸なことに、国民の大多数は「すでに」というべきか「いまだなお」というべきか「ますます」というべきか「構造改革」の何たるかがわからなくなっている。正体不明の「構造改革」がわが国の巷間を妖怪のように徘徊している、というべきか。 ◆農業再生に確信を持てるか こうして「構造改革」によってつくり出された格差社会はもちろん都市にも農村にも共通してつくり出されている。ただ、農業・農村には、そうした社会全体を対象とする「構造改革」とは別建てのこの産業分野限定の、「多数の零細経営を政策の対象からはずして農業の担い手を一部の大規模経営に置き換えること、創出された少数の経営体に政策的支援を集中し、こうして形成された企業的経営体に産業としての農業をゆだねることを目的とした構造政策」が実施されつつある。「担い手を絞り込んで直接支払い」の品目横断的経営安定対策がそれである。しかし、社会全体を対象とする「構造改革」との比較で言えば、この産業分野限定の「構造改革」はいかにも「木を見て森を見ていない」と言わざるを得ないであろう。なぜならここでは、先に上げた(2)競争的な経済システムではなく、「絞り込んで直接支払い」という計画経済システムを採用している。竹中平蔵元経済財政担当相でさえ「農業の活性化なくして地方の活性化はあり得ない」と言っているこのときに、この分野のこの閉鎖システムの採用、規制強化の指向は異様でさえある。農協の事業展開の中で新しい担い手を見い出し、育成していくという手法の方が市場経済原理を活かした担い手育成のよりまっとうな手法と言えるであろう。このことに農協陣営はもっと強い確信をもっていただきたい。ここで胸を張れるかどうかが決め手である。 ◆地域を農と食で結ぶ農協 もう一つ提案しておきたい。食料安全保障をめぐっての国民の合意形成の重要性、そしてその立ち遅れについては多くの識者が指摘しているところである。そういう意味でもっとそうした観点での食料政策の立案があるべきではないか。客観的な数値に基づいて確認される、誰もが認めざるを得ないわが国の格差社会について思うとき、そういう関係が固定化することを決して望むものではないが、しかしそういう現実があるならば、現実をふまえた政策立案があってしかるべきである。 |
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(2007.10.18) |
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