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シリーズ 消費最前線『全農マークを信頼のマークへ』−10 |
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◆常に前を向いて事業を展開 ――全農直販事業を担っている9社の社長のお話を連載してきましたが、どんな感想をお持ちになっていますか。
原田 厳しい環境の中で、各社が創意工夫をして事業展開しており、新商品開発や新規事業を開拓されるなど前向き取り組む姿勢が強いと思いました。そういう意味では、いろいろ問題はあるにしても全農直販グループは健全だと確信しました。 ――全農グループに対していろいろなことが言われていますが、販売の現場の人たちは、全農マークを背負って胸を張って仕事をされていますね。 原田 いろいろな不祥事があり御苦労されていると思いますが、これらの反省をバネとして常に前に進んでいくことが一番大切だと思います。「もうダメだ」「これでおしまいだ」と思ったら事業は止まってしまいますからね。全農直販グループが一層連携をとりながら、取引先対応することが必要だと思います。 ◆個人消費の低迷、熾烈な企業間競争など厳しい市場環境 ――「厳しい環境の中で」ということですが、現在の食品流通業界についてどのようにみておられますか。 原田 デフレとか企業間の熾烈な競争が進む一方で、賢い消費者・もの言う消費者が増えてきていますね。そうした中で食品業界の経営者は、政府の施策や景気回復を待つのではなく、グローバルな視点とスピード感をもって、例えば高齢者を対象にした健康的な付加価値商品による市場開発など、さまざまな自助努力でこの厳しい状況を突破していくことに腐心されています。 ――量販店や百貨店は…。
原田 量販店では、イオンが単体営業収益でダイエーを抜いてトップになるなど、勝ち組と負け組がハッキリしてきましたが、各社ともコスト削減で生き残り競争を戦っている状況だと思います。もう一つは、外資系企業の進出もあってウォールマート・西友・住友商事グループ、イオングループ、イトーヨーカ堂グループというように業界再編が進んでいることがあります。そうしたなかでも、地域に密着した食品スーパーに元気なところが多いですね。 ――生協はどうですか。 原田 生協は、店舗事業は伸び悩んでいますが、共同購入が前年比3%強伸び、組合員数も供給実績も伸びてきています。個別に見ても増収増益の生協が多くなっています。また、事業連帯、商品政策等の見直しの動きがみられます。 ――CVS関係は… 原田 売上げでみると伸びてはいますが、量販店・SM各社の営業時間延長、駅構内にさまざまな店が出てくるなど、CVS市場に進出してきていますから、今後は厳しい面があるのではないかとみています。ただ、上位3社の社長が替わりましたので、企業戦略がどのように変化するか注目されますね。 ――外食も厳しいようですね。 原田 個人消費が低調ですし、法人交際費も減少しているので全般的に売上げは減少しています。しかし、有職主婦の増加など社会構造の変化を考えれば2010年代のどこかで内食・外食の「内外逆転」が起きるとみられていて、業界では中期的な成長力を期待していますね。 ◆「安心システム」を柱に付加価値の高い商品づくりで ――そうした状況のなかで直販事業を進めていくためのキーワードはなんでしょうか。 原田 お取引先様からの価格引下げの要求はきわめて強いですが、価格だけで勝負をするのではなく、互いに協力して、いかに付加価値なり差別化した独自の商品なり、仕組みをつくっていくかです。価格だけで勝負すれば、必ず価格で取返されますからね。 ――そういう意味では「全農安心システム」が大きな柱になりますね。
原田 「安心システム」は、あらかじめお取引先様との合意がえられた生産基準に従って生産し、独自の検査認証制度によってそれを確認された産地・加工場の商品と情報をセットで提供します、生産・加工・流通における一連の履歴情報を遡求できる仕組みづくりと情報開示によって、お客様と生産者相互の信頼関係を高める仕組みです。つまり、お取引先様と一緒になってつくりあげていく仕組みですから、価格だけにとらわれない商品の一つの方法だと考えています。現在、認証産地45産地、工場は35工場までに拡大しましたが、今後もさらに広げていきたいと推進中です。 ◆蓄積されたデータを営農指導にも活用 ――今後の展開としては何か考えられているのでしょうか。
原田 「安心システム」で蓄えられたデータをデータベース化して、営農指導に使い始めています。肥料・農薬、飼料、土壌分析等のデータがありますから、こういう作物にはこういう資材が適していて、どのように使うことで効率化できるかというように活用することで、農家の生産ロスを減少させ収益アップに貢献しようということです。全データが入っていますから、次年度の生産基準の効率的設定や経営管理にも活用できます。 ――これはJAグループでなければできないことですね。 原田 営農指導から始まって生産・加工・流通・小売まで一貫してトレースできるのは農協組織しかないと思います。これをキチンとやりとげることが、日本農業を守っていく一つの方向になると思っています。 ◆直販事業を拡大し、「全農マーク」を信頼のマークへ ――販推部としてのこれからの事業の柱はなんでしょうか。
原田 一つは、いまお話した全農安心システムを普及・拡大することです。もう一つは、直販事業の拡大です。 ――「安心システム」と「直販事業の拡大」を柱に進めていくわけですね。 原田 全農グループは米、農産品、青果物から畜産・酪農まで国内農畜産物のほとんどを取り扱っているわけですから、国内農畜産物の価値を訴えることで、まるごと全農を買っていただけるようにしたいですね。消費者の視点に立った提案をしたり、提携して一緒になって商品開発をするなど、積極的に国内農畜産物の販売促進を進め、そのことで「全農マークがついているなら安心だ」と信頼されるように、各部門・会社と協力して頑張っていきたいと思います。 (終わり)
(2003.9.25)
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