フジコナカイガラムシは、西日本ではカキ、ブドウ、東日本ではナシなどに被害をもたらす害虫で、吸汁による被害や排泄液によるすす病を誘発する。特にカキの被害が大きく、全国の栽培面積の約35%で被害が確認されている(22年産のカキの結果樹面積は2万2400ha)。
同害虫は成熟すると殺虫剤が効きにくい体質となるため、幼虫期に防除する必要があるが、樹皮のすき間に生息するなどの特性から産卵・孵化時期が分かりにくく、防除時期の判断が難しかった。また近年では、カメムシ用など他の害虫用の殺虫剤によって天敵が減り発生が増える傾向にあり、防除が難しい害虫となっている。
このたび農環研は、同害虫のメス成虫がオス成虫を誘引する性フェロモンを突き止め、富士フレーバー(株)がそれを利用した誘引剤を発売した。これにより、同害虫の発生状況が容易に把握でき、より効率的に、またより少ない薬剤で効果的な防除をすることができる。
トラップ本体は従来もカメムシ類などの発生予察に使われていた「フィールドキャッチ」で、3月から新たにフジコナカイガラムシ用の誘引剤が加わった。
カイガラムシ類の特効薬としては、今秋からクミアイ化学が販売を受託する「スプラサイド」のほか、「モスピラン」(日本曹達)、「トクチオン」(アリスタ)などがある。
(写真)
富士フレーバー社の「フィールドキャッチ」(デルタトラップ)
白いワックス上の殻で覆われたフジコナカイガラムシのメス成虫(左)と羽を持つオスの成虫
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