アグリビジネス

アグリビジネス

一覧に戻る

【農研機構野菜茶業研究所】
黄色化しない加工用ダイコン  農研機構が画期的育成

 農研機構野菜茶業研究所とお茶の水女子大学は9月3日、加工時・冷凍保存時に変色や発臭をしない「だいこん中間母本農5号」を育成したと発表した。農研機構では「画期的なダイコン加工品の創出が可能になる」と期待している。

冷凍12ヶ月後の大根おろしの変色具合の比較 ダイコンは約6割が加工・業務用として消費されている。加工用ではたくあんなどの漬物、業務用では大根おろし、つま、切り干しなどの用途が多い。しかし、これらの製造過程や長期保存する際に、黄色く変色したり、硫黄臭を発したりするため、食品添加物を使うなどの対応が採られてきた。
 このたびの共同研究では、こうした変質の原因がダイコンの辛味成分の元でもあるグルコシノレートのうちの1種である、4MTB―GSLという成分の化学変化にあることを突き止め、この成分をまったく含まない品種の育成に成功。同品種では、この成分の代わりにグルコエルシンというグルコシノレートが多く含まれ、辛みを保っている。
 ただし、この品種は中間母本であり、このまま実用品種としては利用できない。現在、種苗会社とも共同して、同品種を基に実用的品種の育成を進めているが、8月21日に品種登録出願公表を受けたことで、研究試料としての提供も受け付けている。
 問い合わせは農研機構野菜茶業研究所(TEL:050-3533-3815)まで。

(写真)
冷凍12ヶ月後の大根おろしの変色具合の比較


(関連記事)
仙台で野菜専門のビジネス商談会 (2012.08.15)

概ね順調な出荷見込む 今年の第1回野菜需給協議会 (2012.07.24)

コシヒカリより30%多収の「あきだわら」など  農研機構の新品種セミナー (2012.03.08)

加工用にも利用できる春ダイコン「春神楽」  タキイ種苗 (2011.12.01)

(2012.09.18)