昨日、農水省が米の減反についてのアンケート調査の結果を公表した。全国の農業者 約8千人などからの回答をまとめたものである。いくつかの点を指摘したい。
はじめに、調査農家が大規模農家に偏っていることを指摘しよう。1ヘクタール未満の小規模稲作農家は47%にすぎない。実際の割合は79%なのである。あまりにも偏っているのではないか。小規模農家も発言権を持っている主権者なのである。
結果の解釈だが、今後の問題として、減反は「いまのままがよい」と「強化すべし」の答えを足し算したものと、「自由度をたかめよ」と「やめるべき」の答えを足し算したものとを比較すべきではないか。そうすると前者の答えは45.9%、後者の答えは51.8%になって、結果は逆転する。ことに小規模農家は後者の答えが多い。調査農家が偏っているから誤った解釈をしてしまったのである。だからといって、いますぐに減反をやめてしまえ、というのではないだろう。この点の突っ込みが足りない。
もう1つ、今後の政策だが、主食用米の価格下落時の対策と主食用以外の作物への助成と備蓄米に分けて質問しているが、価格下落時の対策は3つの問いに分けて詳細に聞いている。価格下落時対策に答えを誘導しているのではないか。そうではなくて、大規模農家や減反実施農家だけを政策の対象にするか、すべての農家を対象にするか、という点で分けて解釈すべきではなかったか。当然のことではあるが、小規模農家ほどすべての農家を対象にせよ、と答えている。このアンケート調査の偏りをここに端的に見ることができる。
小規模農家と大規模農家の対立を煽るような政策は、いまこそ解消すべきではないか。そのための基礎調査としてのアンケート調査であってほしかった。
(前回 米粉・飼料用米法に期待)