これまでに、明らかになっていることは、首相がいう(注)ように、棚上げ方式にすること、つまり、役割を終えた古い備蓄米は加工用や飼料用などで放出し、主食用としては放出しないことと、国産米の100万トンと輸入米の70万トンの合計170万トンを備蓄して、市場から隔離する、というだけである。骨格が示されただけで、細部は分からない。
いうまでもなく、備蓄米とは本来、米不足になったとき、主食用として放出するものである。平常時は主食用として放出しないで、どういう事態になったら米不足と考え、主食用として放出するのか、放出基準を明確にしておかねばならない。
放出基準をあいまいにしておくと、いままでのように、いわゆる備蓄米が在庫圧力になって市場を圧迫し、米価下落の原因になる。放出基準を明確にしておけば、平常時は主食用として放出しないのだから、米価を回復できる。それどころか、備蓄量を増やしても米価を圧迫することはない。
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公約では備蓄量を300万トンに増やす、としていた。これは高く評価されていた。だが、170万トンに減らそうとしている。何故か。それは過渡期の激変緩和のためで、4年後には300万トンにする、というのだろうか。
どうも4年後も170万トンと考えているようだ。もしもそうだとすれば、これは重大な公約違反である。この点も明らかにして釈明すべきだろう。
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農相は、棚上げ備蓄方式に代えるのは今年からだ、と言っている。そうすれば、いまの政府の需給見通しは大幅に修正しなければならない。その結果、減反面積を緩和することになる。しかし、生産数量目標はすでに決めていて、地域への配分も終わろうとしている。だから、修正はほとんど不可能だろう。
この点は、どのようにして、つじつま合わせをするのだろうか。机の上だけの、計算上のつじつま合わせではなく、政策の裏づけのある需給見通しの、政策のつじつま合わせが求められている。
主要な食糧の需給について、明確な見通しをもっておくことは、どんな国でも政府の最重要な責任である。政府は、このことを肝に銘じておかねばなるまい。
(注)ココをクリックすると3月5日の参議院予算委員会の録画動画が出ます。急に大きな音がでますが、昼の休憩が終わり、午後の部が始まってから2時間49分後に、この発言があります。
(前回 6次産業化法の理念を高く掲げよ)
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