同じようなことが、米粉パンにもみられる。ゴパンを参考にすべきだろう。
政府は、食糧自給率の向上を農政の最重要な目的に掲げ、そのために、米の需要拡大の旗手として、米粉の需要開拓に力を入れている。しかし、それは、米の生産に偏ってはいないか。
この某電機メーカーのような、米の需要拡大に貢献している企業にも、農水省は手厚い支援を行うべきではないか。米を原料として利用する、このような産業の振興に、もっと力を入れるべきだろう。
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政府は、米粉用米の生産者に10アール当たり8万円の助成をしている。民主党農政の主要な柱の1つだ。農業者は高く評価し、今後に大きな期待を抱いている。
しかし、米粉用米の売り先が決まっていないと、この助成を受けられない。これが、この制度を拡充するうえでの障害になっている。
米粉用米を原料にした米粉パンの需要が少ないわけではない。それどころか、ゴパンの経験が示しているように、米から作った米パンや米粉パンには大量の需要がある。
つまり、消費者はもっと多く米パンや米粉パンを食べたい、といっているし、農業者は、もっと多く米や米粉用米を作りたい、といっている。だが、両者の要求がすれ違いになっていて、ともに満たされていない。
両者の要求を噛み合わせるのは、某電機メーカーや米粉加工業者のように、農業者と消費者の中間にいる企業の役割である。だが、ここには採算性の問題が大きく立ちはだかっている。
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政府は、米粉用米の生産に尽力するだけでなく、米粉製造業者にも手厚い助成制度を整備すべきだろう。
そうすれば、米粉の製粉業者の採算性が良くなる。その結果、製パン業者にもっと安く米粉を売ることができるし、原料の米粉用米をもっと高く買うことができる。製粉業者は、やがて米粉用米を買い漁るようになるだろう。
そうなれば、米粉用米の生産を増やすことができ、米粉パンが安くなり、もっと普及し、米の需要が拡大し、食糧需給率が向上し、食糧安保に貢献する。
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こうすれば、政府が掲げた、米粉用米100万トンの生産目標に、それほど遠くない将来に到達できるだろう。国民は、食糧需給率50%への、政府のたしかな足取りを実感できるだろう。そうして、民主党農政への信頼は回復し、揺るぎないものになるだろう。
政府は、こうした状況を見逃して、自給率の向上を、不確かな外需、つまり、中国への米の輸出に依存するのではなく、足元の、こうした内需を掘り起こすことで、堅実な実行力を示すことを期待したい。
ゴパンが示しているように、米の需要は、国内にまだまだ大量に潜在しているのである。この他にも、300万トンの飼料用米の需要が潜在している。これらを全て掘り起こせば、食糧自給率を50%に上げることは、今すぐにでも出来る。
政治の固い意志と、強い実行力を期待したい。
(前回 TPPは農家の兼業者の賃金を下げ、失業させる)
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