「これまで果樹の本というと、ミカンやリンゴなど特定の品目だけだったり、栽培技術などに特化したものばかりだった。常緑果樹と落葉果樹をあわせて、社会科学の分野から果樹農業を追求した書はほとんど見たことがなく、特に果樹類全体を主要食糧との関わりの中で歴史的に叙述したものは非常に少ない」と、新著の執筆経緯について語っている。
同著は、広く全国的に栽培されているナシ、東海地方と四国九州を主体とするミカン、北国主体のリンゴ、そのほかモモ、ブドウ、カキ、ウメなどを中心に明治時代以降太平洋戦争終結に至るまで、日本の資本主義経済の下で果樹園芸農業がいかにして形づくられてきたかを統計的にまとめている。