安田氏は平成22年2月にエス・ディー・エス バイオテック代表取締役社長に就任した。同社の方向性について「新しい作物保護方法について提案していけるような会社になればいいな、と考えている」という。
というのも「農業=自然」ではないと考えているからだ。「食料としてのイネやキャベツを栽培することは、単純化された人工的な環境をつくることだから、人間によるインプットが必要だ。そこに農薬の必要性が生まれ、化学農薬が発達してきた」。
実際、大学院で「害虫の研究」による農学博士を取得している安田氏は、千葉大学園芸学部で“農薬学”非常勤講師の経験もある。学生らに化学農薬の必要性を伝える時に、こういった説明をすると学生にも理解してもらえるという。
JAグループへのメッセージとして、「農業は一般のビジネスとは異なり、経験と知識、そして持続することを基本にしたトータルな活動だ。私たちはそのなかで農薬、つまり作物保護という限られた分野を担当しているが、農業をトータルでまとめる作業は地域に根ざしたJAの役割であるし、そのことが期待されている」と語った。