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【(財)アジア人口開発協会常務理事】
楠本 修 氏

 世界の食料・環境問題への影響を中心に、研究成果を紹介し全体をとりまとめた立場から、本紙5月30日号・TPP特集のなかでTPPをめぐる議論の問題点などを話してもらった。

 「TPP参加による日本の食料自給率の低下で世界は生産を増加させようとするかもしれないが、どこで生産を増加させるかといえばブラジルのセラードなど。しかし、セラードは環境的に脆弱な地域で、なおかつ生物多様性のホットスポット。貿易の自由化は世界に効用をもたらすといいながら、猛烈に環境負荷を増やすことになる。
 世界人口という点では雨が多く持続可能な農業の余力がある日本が食料生産をしないということは環境面からも倫理的からも問題。
 今、世界が取り組まなければならないことは飢餓、環境問題などたくさんあるにも関わらず、議論は経済活動の自由化一辺倒にある」と指摘。「われわれは、人間が尊厳を持って生きるためにはどうしたらいいか、を中心にした発信がもっと必要だ」と話した。

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(2011.06.24)