もともとあった農村へのあこがれが地域医療にかかわるようになったきっかけだという長所長は、病人や高齢者を病院や施設だけでなく、それぞれの家庭や地域で面倒をみようという「プライマリ・ケア」の実践をめざす。
大規模な仮設住宅に診療所を開所したのは、慣れない生活環境で医療以前のさまざまな問題を抱える入居者は、メンタル面で佐久地方の山間部農村と同じ問題があるとして、「これまでの経験を生かしたい医療がしたい」との思いからだ。
「必要なことは被災者に将来の生活の展望が持てるようにすることです。住宅の建て方をはじめ、健康・福祉を考えた地域、町づくりに取り組まなければなりません。医療面からそれに少しでも役立てばと思っています」。
メンタル面での医療の一つとして仮設住宅の近くに畑を借りて農作業の機会をつくる提案も考えていると語った。