笹部氏は京大農学部卒業後、鐘紡(現カネボウ)、コカコーラナショナルベンディング、ハインツ日本などを経た後、「日本の農業と卸売市場を変えたい」との強い思いから平成14年東京青果に入社した。
青果物流通では「東日本大震災を契機に大きな変革があった」という。コンビニが商品陳列を変えて青果物を取り扱うようになったこと、さらにそれまでコンビニで日用品や青果物などの買い物をしなかった主婦や高齢者がコンビニでそれらを買うようになったこと、の2つのポイントがそれだ。
コンビニ業界全体はこうした変化をうけて業績は上向き、一方、食品スーパーなど従来の小売流通は苦戦を強いられている。このような食品、農産物の販売環境の変化に対応するには「スピード感が必要だ。JAは、こうした鮮度の高い情報を得られる卸売会社と取引しなければいけない」と提言した。
そうした卸との連携は、6次産業化を進める上での一つの方法だ。6次産業化を構想する段階から小売流通などの業者を参画させ、精度の高い計画をつくること、需要にあった地域資源の商品化をめざすこと、などは「各県の全農やJA経済連が主導して推進しなければいけない」と強調した。