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【フランス国立工芸学院教授】
ジャン=ルイ・ラヴィル氏

 「経済を民主化できなければ社会も民主化できない」。フランス国立工芸学院のジャン=ルイ・ラヴィル教授は、市民の自主的な参加による経済の民主化を訴えている。

 こうした経済の民主化は「連帯経済」と呼ばれ、特に欧州で、新自由主義や市場原理主義に対抗する新たな経済活動として注目されている。
 欧州では、公的機関でも、民間企業でもない第3機関(サード・セクター)の、社会や経済における役割や定義付けなどを研究する専門機関「EMESネットワーク(欧州の社会的企業研究ネットワーク」が1996年、ベルギーに設置された。ラヴィル教授はこのネットワークのメンバーであり、これらの研究の第一人者だ。
 11月に埼玉のJA、生協、労働者協同組合などが主催した全国集会に出席するため来日し、各地で講演やセミナーなどを開催した。
 ラヴィル教授は、「経済を市場と同一視する」現在の風潮を一種のイデオロギーだとして批判。「より現実的な観点で考える」べきだとして、[1]市場、[2]非市場経済、[3]非貨幣経済、という3つの経済原理の混在が必要だと指摘。それによって、これまで市場原理でのみ定義されてきた経済活動が、民主主義的・人間的な営みになると提起している。
 ラヴィル教授は、「20世紀の経済は国家と市場に重きが置かれていたが、21世紀はサード・セクターの比重が増えるだろう」として、「地域社会の中で人と人とのつながりを深める必要がある」と訴えている。

(関連記事 【いま、「協同」が創る2012全国集会】 民でも公でもない「連帯経済」が21世紀の社会をつくる

(2012.12.10)