「マイクロバブル」は特殊な発生装置によって水中に発生させる気泡。直径は50マイクロメートルと肉眼では見えないほど微細だ。
今回の技術は気泡が微細のため浮力を失い、気化せず水中で長時間停滞できる特徴を利用した。
農薬につけ込んだ青果物の残留農薬を調べるため、脱塩素水道水と比較実験を行ったところ、マイクロバブルは水道水より効率よく農薬除去ができた。サニーレタスでは30分マイクロバブルに浸けると60%、24時間後は100%の農薬除去効果が実証できた。
◆水耕栽培の発展に期待
現在農薬取締法で培養液への農薬使用は禁止されているため、水中からの病原菌の殺菌は難しいが、マイクロバブルの実用化が実現すれば農薬を使わず水中から培養液の殺菌ができるようになる。
またマイクロバブルの酸素を取り入れることで水耕栽培での農作物の発育も促進できるため、同研究室の玉置雅彦教授は「まだ小さい市場である水耕栽培の効率化など、農業に広く応用できる」としている。
現在マイクロバブルは排水の浄化や養殖カキの生育促進で実用化されているが農業分野での導入はされていない。先日同大学が建設を発表した「植物工場」で引き続き実用化をめざして実験される予定だ。(関連記事)
この成果は秋田大学で開かれる「園芸学会秋季大会」で9月26日に発表される。
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上:マイクロバブル発生装置を使って水耕栽培に取り組む玉置教授
下:マイクロバブルを発生させる装置