コープネットでは数年前から、食料自給率向上への取り組みや産地支援など日本農業の活性化に消費者の立場から貢献する活動に力を入れてきている。そうした活動の一環として、トキが棲める環境に優しい農業をと「島をあげて『生き物を育む(生物多様性)農業』を積極的に進めていることを応援するために、今回協定を締結する」ことにしたと赤松理事長は、4月28日の事前記者会見で語った。
具体的には、コープネットの会員生協の店舗と宅配サービスで販売している「コープ新潟佐渡コシヒカリ」を対象に、販売された米1kgに付き1円を「佐渡市トキ環境整備基金」に寄付する。
また、この米の販売を通して、生協組合員などに、生物多様性の大切さを浸透させる取り組みを推進したり、産地と消費者の相互理解を深めるために、産地視察や交流も推進していく。
コープネットでは、会員のコープとうきょうが94年に「コープ新潟佐渡コシヒカリ」の販売を開始。現在では全会員生協の店舗と宅配で、佐渡で生産される米の約1割に相当する2650t(09米穀年度・玄米実績)を販売しており、10年度もほぼ同様の計画。
高野宏一郎佐渡市長は、「2015年には島の東側にトキ60羽の生息地をつくる予定で、それに協力してもらうことができた」。また今年から6月の第2日曜日と8月の第1日曜日を「生き物調査の日」とし、地域全体で「田んぼ一枚一枚の生き物調査を行い、全島マップを作成」し、トキが餌を食べたかどうか調査することにした。そうした活動などを通じて「安心を市が保証していく」と語った。
板垣徹JA佐渡代表理事理事長は、JAでは「2006年に3割減々栽培でなければJA米として取扱わないと宣言。08年には98%が切り替わった」、また「12年には全量5割減々にする」決意を語った。5割減々栽培で佐渡市が決めた「生き物を育む農法」を行うと「佐渡市認証米」として市から一定の助成が受けられる(詳細は本紙09年8月10日号参照)。
さらに板垣理事長は「消費者との交流で生き物豊かな佐渡にしていきたい」とも語った。
赤松理事長は会見の最後に、5kg袋での販売が多いので「5kgで5円寄付し、環境に優しい農業を支援しよう」と生協組合員に訴えていくと語った。
協定は4月30日に佐渡市のトキ交流会館でコープネットと会員のコープにいがた(小林昭三理事長)、佐渡市によって調印される。また、協定に基づいて、JA佐渡、JA全農にいがた、全農パールライス東日本、日本生協連の6団体が「佐渡市トキ環境整備基金」への寄付に関する覚書を締結する。なお協定書調印後に記念田植え式も実施する。
※高野佐渡市長の「高」の字は、正式には旧字体です。
(写真)(右から)コープネット理事長・赤松氏、・佐渡市長・高野氏、JA佐渡代表理事理事長・板垣氏