◆平均的な養豚農家で生活支援額3000万円に
政府が決めた対策は[1]殺処分する牛、豚は時価評価方式で全額を補てん、[2]ワクチン接種から殺処分までの飼育コストは一日あたり単価で飼養日数実績で支払う、[3]ワクチン接種、殺処分後の生活支援は互助基金(病死した場合に支払われる家畜防疫互助基金)への加入未加入にかかわらず、同基金と同額の支援を行う。[4]埋却に要する経費支援では、農地の使用不能による逸失利益(地代相当)と環境対策に要する経費を支援(町による土地購入は別途検討)。[5]経営再開支援策は▽リース方式による家畜導入への助成、▽家畜疾病経営維持資金の融資枠の拡大等する、の5項目。
互助基金と同額を支援する生活対策について、農水省は宮崎県内の平均使用頭数をもとに、肉用牛繁殖農家(30頭)で477万円、肉用牛肥育(160頭)で944万円、養豚一貫経営(1880頭)で3218万円、酪農経営(45頭)で707万5000円の水準になると示した。
◆鳩山総理がメッセージ
政府の口蹄疫対策本部長である鳩山総理は23日に宮崎県に対してメッセージを発表した。
このなかで鳩山総理は「断固たる決意をもってまん延防止を図っていくため殺処分を前提としたワクチン接種を始めていただいた。農家のみなさまにとって心ならずも殺処分を前提にワクチンを打つことや飼育途中の豚や牛を早期に出荷せざるを得なくなることはつらい話と思う。しかし、これ以上拡大させないという方針のもとでお願いするもので是非とも理解と協力をお願いしたい」と強調している。
また、赤松農相も同日メッセージを発表、ワクチン接種による感染拡大措置は「これまで経験のないものであり、農家の方々には、今後の生活はどうなるのか、経営再開はできるのか、といった不安、家畜を失うことによる痛み悲しみは計りしれないと思う。政府としてできる限りの対応を行い、一日でも早く経営を再開できるよう全力を尽くす」としている。
宮崎県の対策本部によると5月23日現在、日向市では対象農家へのワクチン接種はすべて終了したという。
一方、23日には川南町を中心に新たに12例の疑似患畜が確認された。これで合計で193例となり殺処分対象家畜は14万4335頭(牛1万8561頭、豚12万5759頭、山羊・羊15頭)となった。
(川南町とJA尾鈴の現地レポートは5月28日付の【緊急ルポ 口蹄疫】から。)
(写真)
現地では消毒作業が続く