農政・農協ニュース

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【シリーズ】2012年国際協同組合年に向けて 協同組合が創る社会を 第11回 JAの本名は「農業協同組合」 農協批判のなかでJAの存在価値を考える―福井県立大学 北川太一 教授・(社)家の光協会 柳楽節雄 専務

 政府の行政刷新会議のもとに設置された規制・制度改革に関する分科会では農協に対して独禁法の適用除外規定や1人1票制の見直しなどが検討項目に上がっている。政府の対応は今のところ不透明だが議論の行方を注視し反論すべきは反論する必要がある。こうしたなか福井県立大学の北川太一教授は「いまJAの存在価値を考える―『農協批判』を問う」を(社)家の光協会からこの8月に緊急出版した。
 今回は同書の狙いとJAの課題などについて北川教授と(社)家の光協会の柳楽節雄専務に話し合ってもらった。

組合員の「協同活動」を支える「事業」の再構築を


◆農協批判と市場原理主義


 ――まず本書で北川先生が提起されたことからお聞かせいただけますか。
福井県立大学 北川太一 教授 北川 いわゆる農協批判が再燃しているなかで、本書はこれに真っ向から反論しようという本ではありません。もちろん反論は大事ですが、もう一度JAの皆さんは足下を見つめ直してみることが大事ではないかということです。
 JAという愛称が使われて20年近く、この愛称は広く浸透した一方で、「本名」である農業協同組合ということがどうも置き去りにされているような気がしてならないんですね。
 農協批判は今に始まったことではなく、またかという感じもしますが、それは農協がきちんとした実践をし、それを伝えていないことにもあるのでないか。そこでもう一度、協同組合の特徴は何か、その特性を強みに変えるにはどうしたらいいのかをまとめてみようというのが執筆の動機です。
(社)家の光協会 柳楽節雄 専務 もちろん今回の農協批判自体、看過できないことは事実です。
 行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会は、農協に関して当面の検討項目と中長期的な検討項目に分けています。
 とくに問題なのは中長期的な検討項目のほうで、ここでは信用・共済事業分離論のほか、1人1票制の見直し、准組合員の廃止などを挙げていますが、これは農協そのものの崩壊に関わる問題ですからJAグループとしては理論武装する必要がありますね・・・。


(続きは、「シリーズ2012年国際協同組合年に向けて 協同組合が創る社会を 第11回」で)

【略歴】
きたがわ・たいち
福井県立大学経済学部教授。1959年兵庫県生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程単位取得退学。主な著書に、『新時代の地域協同組合 教育文化活動がJAを変える』(家の光協会)、『農業協同組合論』(編著、JA全中)などがある。

(2010.10.05)