農政・農協ニュース

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全県域でポリシーブック作成 新しい農政運動確立を JA全青協

 民主党による政権交代後初の大会となった昨年の第56回JA全国青年大会2日目。今後、JA全青協として農政運動にどう取り組むべきかの行動原則を確立しようと「農政運動確立キックオフ集会」を開き、「政党ではなく政策で判断しよう」などの意見が出された。
 今後も選挙のたびに政権交代の可能性はある。特定の政党への選挙協力という形で農政運動を行うと、支持政党が敗北した時のリスクは大きい。これまでの運動のあり方を見直し、盟友一人ひとりの現場からの意見を積み上げた政策提言をつくり、政党に関係なくJA青年部としての要望を伝えていこう、と始めたのが「ポリシーブック」の作成だ。

◆米国での農政運動がヒント

 「ポリシーブック」は盟友一人ひとりが日頃から感じている課題、疑問などをテーマに、その解決策を議論し、内容をまとめた政策提言集だ。
 いわゆる政策提言集は行政等への要望事項のみを書くのが一般的だが、ポリシーブックは「青年部で行うこと」「JAとともに行うこと」など自分たちの行動目標も盛り込まれているのがポイント。ポリシーブックは各地区選出の政治家にしっかり現場の声を届ける活動でもある。
 実際に共和党と民主党との間で頻繁に政権交代が起こる米国で農業者団体はどのように政策提言をしているのか、と昨年5月に山本毅会長(当時)や大西雅彦理事(現会長)ら5人がアメリカの農業者団体であるNFU(ナショナル・ファーマーズ・ユニオン)にヒアリングなどを行い、検討を重ねてきた。
 22年度はモデル事業として北海道の3地区で作ったが、23年度は全国で作成する予定だ。
 ひとりが声をあげても国政やJA全国連にはなかなか届かない。しかし、ポリシーブックの作成を通じて全盟友から意見を吸い上げていけば、それは大きな力になる。
 現場からの声をまとめ、より現実的な政策提言をすることは、政府や社会一般に対してJA青年組織や青年農業者が地域を守っていくというスタンスを示し、それらの信頼を得てコミュニケーションを深めることにもつながっていく。

北海道青協でのポリシーブック作成をめざしたグループワークのようす

(写真)
北海道青協でのポリシーブック作成をめざしたグループワークのようす


◆青年組織の目標を共有しよう

 ポリシーブックは、今年つくって終わりではない。
 毎年、議論を重ね更新していくことで、継続的に盟友たちの要望を政府に働きかけるだけでなく、盟友同士の課題や情報を共有し、組織の結集力を高めることもめざしている。
 大西会長は「政策提言をつくるためには、全盟友がしっかりした学習活動を行い、地域をどう変えていきたいか、という意見を出さなければいけない。この活動を通して、青年部として"登るべき山を決める"ことが重要だ。青年部綱領に記されている理念に基づいて、それでは具体的な目標設定はどうするか、を盟友全員で考えるのが大きな目的だ」とポリシーブックの意義を述べる。
 今後、JA全青協はポリシーブックを活動の大黒柱に据えて、そこからさまざまな活動を派生させていく方針だ。ポリシーブックは各組織の活動目標にもなり、それがあることで運動の継続もスムーズになると期待される。

大西会長インタビュー

第57回JA全国青年大会

(2011.02.18)