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経常利益1173億円、目標水準達成し3期ぶり復配へ  農林中央金庫

 農林中央金庫は5月20日、2010年度決算を公表した。経常利益は通期での目標利益水準(500〜1000億円)を上回る1173億円を達成した。08年秋のリーマンショックの影響で農林中央金庫は健全な経営・財務基盤を確立するために09年度から4年間の経営安定化計画に取り組んできたが、「想像以上に順調に回復した」(河野良雄理事長)ことから、同計画を2年前倒しで区切りをつけ、11年度は東日本大震災の復興支援を重点に事業を展開する。

 2010年度の経常収益は、利回りの低下や有価証券の売却益の減少(前期比▲976億円)などで前期比▲1861億円(▲14.8%)の1兆710億円となった。
 一方、金利低下によって資金調達費コストが同▲901億円となったほか、与信関係費用では250億円の収益計上となるなどの低減要因から経常費用は同▲2318億円の9537億円となった。
 このように収益の圧縮を上回る費用の圧縮となったことから、経常利益は456億円増の1173億円となった。純利益は1147億円増の1443億円。
 有価証券の評価差額は342億円で2628億円改善した。09年3月末決算では前年のリーマンショックの影響で2兆929億円に達していた。
 自己資本比率は22.66%(前年度比3.4%増)、基本的項目(Tier1)比率は16.73%(同2.85%増)となった。宮園雅敬専務によると現在の財務状況について「明日、リーマンショックが起きるようなストレステストをしても18%台を保てる状況」と話した。
 純資産額は4兆2504億円で史上最高額となった07年3月決算(4兆4230億円)に肩を並べる水準に回復。3期ぶりに復配も行う。
 農林中央金庫は09年3月末にJAなど会員から1兆9000億円の増資をし安定的な財務運営のもとで経営安定化計画に取り組んできた。
 河野理事長は会員からの増資協力について「協同の絆を実感した」と話し、今後は被災地等に「お返しをする番。絆を実感していただけるよう支援に取り組む」と強調している。


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