今回は前回の議論をふまえて作られた登録申請書案をもとに、より議論を深めた。
申請する記載名称は 「会席料理を中心とした伝統をもつ特色ある独特の日本料理」とする案が示された。それをもとに、今回も“日本の食文化とは何か”をめぐって議論した。
たとえば日本独特の性格がある麺文化、わび・さびなどの「哲学的」要素、「酒の肴」という言葉があるように時として主役となる「日本酒」について、強調して盛り込んではどうかなどの意見があった。
また、申請書は英語で表記することになっていることから「わび・さびなど日本独自の感覚的な表現をどう説明するか考えていく必要がある」、「日本独特の言葉に対する定義集を作ってはどうか」といった意見もあった。
申請書に盛り込まれる日本食文化の「保護措置」について、日本料理人が激減している点を指摘する声もあり、熊倉功夫会長は「料理人が技術の保持者として人間国宝に登録されたことは皆無。日本料理を既成の制度の中でどういうふうに文化として認め、保護していくのか国として問われている」と国の対応の必要性を述べた。
第3回検討会は9月28日開催予定で、関係団体や地方自治体からの賛同を促すため、9月上旬から地方農政局単位での説明会の開催を検討している。10月の第4回検討会で内容をとりまとめ、平成25年での登録実現をめざしている。
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検討会では第1回、第2回検討会ともに「日本の食文化とは何か」が議論の中心となっているが、日本食に精通した委員それぞれの視点から出される意見からは日本食文化の独自性や魅力が見えてくる。
第2回の検討会でもっと強調すべき点として指摘された日本食文化の特徴を紹介する。
▽収穫に感謝するという「新嘗祭」は日本の歴史的な文化。「ものに感謝するすばらしい文化がある」と海外の人から感心されている。
▽日本は調理師養成学校の数が世界にはない多さ。こういった組織が食事のレベルを維持している要因にあると感じる。
▽懐石料理は主人(オーナーシェフ)中心だが、会席料理では「おかみ」の役割が重要。掛け軸、花、料理まですべてを指揮者のごとく仕切り、顧客の嗜好も電話帳などで事細かに管理している。日本的なもてなしの基本である。
▽日本酒は季節に合わせて燗するなど、一種類でもいろんなバージョンで料理と楽しむことができる。
▽日本の食文化は「水」が重要。ほかの言語には訳せない水を使った言葉も多い。そば、酒、豆腐など水がいいからこそ生まれたものである。
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日本の食文化を世界へ 世界無形遺産登録めざし第1回検討会(2011.07.06)