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協同組合共済の今日的な役割とは  日本共済協会セミナー

 日本共済協会は「日本の協同組合共済の存在意義」をテーマにしたセミナーを10月25日、都内で開いた。

日本共済協会セミナー 同協会の安田舜一郎会長はあいさつの中で、慢性的なデフレや円高、財政赤字問題に加え、東日本大震災による影響を受けた日本の情勢下で「安心で豊かなくらしを支援する共済事業の役割が改めて見直される」としてその重要性を述べた。
 セミナーでは「日本の協同組合共済の今日的役割を考える」として農協共済総合研究所の今尾和實理事長(写真)が意見表明したほか、一橋大学大学院の米山高生教授が「協同組合共済の存在意義を考える」をテーマに基調講演した。
今尾和實理事長 今尾理事長ははじめに、日本は先進国の中でもっとも高齢化が進んでいながら国民負担率はアメリカに次ぐ低さであることなどを挙げ、公的社会保障の不十分さを指摘、それを埋めるのが共済・保険であると述べた。
 協同組合共済の価値については、賀川豊彦の「日本協同組合保険論」や協同組合原則から検証した。
 その中で協同組合原則の改訂として1995年のマンチェスター大会で採択されたICA声明を取り上げ、そこで述べられている改訂理由には経済不況や災害といった人々の生存に関わるものが挙げられているとした。協同組合がそれらの問題を完全に解決することはできないが、▽経済力をより広く公正に分配する▽環境への配慮を実践できる▽地域社会を向上させることができる、など解決に向けて大いに貢献できることを発信しているとして、現在の世界情勢にあてはまる「極めて時代適合性が高いもの」であると述べた。
 また、東日本大震災後の協同組合による炊き出しや医療活動、損害調査などさまざまな取り組みを紹介。常日頃から顔の見える小さな協同が大事であると強調し、今こそ共生原理の社会をめざすべきだとして協同組合の必要性を述べた。


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