農政・農協ニュース

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日韓ともに新たな社会発展モデルを  日本農業新聞・金 哲洙

 韓国では、韓米FTA(米国と韓国の自由貿易協定)の反対集会が長期化している。与党・ハンナラ党が国会で、米韓FTAを強行採決した11月22日から1カ月、全国各地でほぼ毎日のように反対集会が行われている。農業界や医療界だけではなく、若者を中心とする格差社会への不満が背景にある。4月の総選挙を控え野党も、「韓米FTA廃止」を公約に掲げ、韓米FTA無効運動を後押ししている。昨年末、その現場を追った。

◆強行採決への怒り


「韓米FTA無効」「李明博退陣」「韓米FTAは農業崩壊宣言だ」などのプラカードを手に、韓米FTA廃止を訴えるデモ隊 韓米FTA批准をめぐる国会本会議は本来、11月24日を予定していた。農業者や労働者でつくる韓米FTA阻止汎国民運動本部(阻止本部)もその日程に合わせ、大規模集会を計画した。しかし、与党のハンナラ党は、国会本会議を前倒しし22日、強行採決に臨んだ。民主党などの野党40数人の議員が、会議進行を防ごうとし、催涙弾騒ぎもあったものの、議員295人中、与党の170人が参加し、賛成151人で批准された。野党・民主党の孫鶴圭(ソン・ハクキュ)代表は同日、記者会見を開き「韓米FTAは無効と宣言する。無効闘争に突入する」と怒った。
 翌日、野党5党と阻止本部は緊急会合を開き、韓米FTAの破棄を目指す「無効闘争」の方針を固め、政党演説を兼ねた集会を行った。午後6時ごろ、警官隊が取り囲んでいる中、ソウル市庁前で、野党議員の演説を皮切りに、「韓米FTA無効」集会が始まった。
 国会で催涙弾を投げた民主労働党の金先東(キム・ソントン)議員が壇上に上がる際には、長らく拍手が続いた。金議員の「FTAを破棄しよう」との呼び掛けには、参加者が一斉にろうそくを掲げて「廃止しよう、廃止しよう」と応えた。議員演説後には任意発言時間を設け、労働者や大学生、高校生が発言した。高校2年の女子生徒は、マイクを握り「私たちの未来を米国に売り渡さないでほしい」と訴えた。集会は、午後8時半くらいまで続き、それからデモ行進に変わった。興奮した集会参加者は、警察官が「不法デモだ。即座に解散しろ」と放送しても、「(韓米FTA)批准無効、明博(イ・ミョンバク大統領)退陣」を訴えながら、デモ行進を継続した。警察は、水車を出動し、デモ隊の進路を遮り、デモ隊の解散を繰り返し促した。


(写真)
「韓米FTA無効」「李明博退陣」「韓米FTAは農業崩壊宣言だ」などのプラカードを手に、韓米FTA廃止を訴えるデモ隊

 

◆FTAは1%の富裕層のため


 しかし、デモ隊は、一層激しい口調で、与党や現政権を批判した。対峙して30分程度、警察は、デモ隊に水を発射した。マイナス気温で、正常にカメラを構えることさえ難しいなか、デモ隊は依然とプラカードを掲げ、韓米FTAの批准無効を叫んだ。午後10時過ぎまで、20数人が警察に連行され、デモ隊は、強行に解散された。
 24日には、全国各地の農家や労働者がソウルに集まり、韓米FTA廃止運動をさらに盛り上げた。全羅北道の30人の農家と共に集会に参加した米農家の趙在雄(ゾ・ゼウン)氏(63)は「与党ハンナラ党の一方的な韓米FTA批准に強い怒りを感じる。怒りで、とても家にはいられなかった」と話した。昨年の口蹄(こうてい)疫で畜産が大打撃を受けた慶尚北道安東からも多くの農民が参加し、農家の尹昌(ユン・チャン)氏(68)は「韓米FTA廃止を訴えること以上に重要なことはない」と、怒りをあらわにした。・・・

 


(続きは 2012年新年特集号 もう一度考えよう! この国のかたちを 「日韓ともに新たな社会発展モデルを」 で)

(2012.01.18)