女性の持つ粘り強さを地域づくりの原動力に
◆女性の力をどう引き出すか
今村 今日のテーマは「女性が創る地域力」です。まずはそれぞれの活動を聞かせていだきたいと思いますが、最初に足立組合長からJAにじの女性部活動について紹介していただけますか。
足立 ほとんどの女性が勤めに出るという時代になってきて、行政が組織している地域婦人会とJA女性部という2本立てになっていた女性組織のうち、婦人会はほとんどつぶれていったんです。そうなるとJAの女性部も地域によっては、なくせるものならなくそうか……といった動きが出てきた。最初は奥歯が少し欠けた程度でしたが、そのうちどんどん歯が抜けていくという感じになったので、これではいけないと平成12、3年ごろ1年かけてどんな女性部組織にしたらいいのかを検討したわけです。
その結果、女性たちが自分のやりたいことで集まるグループ活動を主体にした組織とすることにしました。大きな区分けは目的別、世代別のほか、農産加工などのワーカーズ、農業生産を主体とするアグリといったグループで、星の数ほどグループをつくろうと呼びかけて活動を活性化させていったわけです。つまり、農業生産のグループもあれば、都市の消費者と交流をするグループ、子どもたちの農業体験を応援するグループもあるなどさまざまということです。以前は集落単位が組織の基本でしたが、それをグループ単位で組織し直し、今は413グループがあります。
今村 そのなかには直売所に出荷するグループもあって直売所も女性が支えているということですか。
足立 出荷者は1100人ほどいますが、やはり中心は女性ですね。ただ、直売所は農家経済にもかなり貢献していますから、男性でも直売所に出荷するため年間作付け計画を立てて取り組んでいる方も多くなりました。経済的にも豊かになりますが、さらにやり甲斐といいますか、病院には行く暇がない、と。いつのまにか忘れてしまった、元気になった、という人も多いです。
今村 男女を問わず生活に役立っているわけですね。女性がグループ活動をする活力をどう引き出したのですか。
足立 引き出すというよりも、私の家のことを考えても農業の95%は家内が担っていますし、全体でも60%以上が女性の力だということです。
それから毎日の家庭のやりくりも大概は女性に任せていますね。どこに貯金するか、共済に加入するかどうかもほとんど女性の判断ですし、金融店舗に来るのも女性が3分の2です。女性がJAの担い手といっても過言ではないわけで、これが盛んなグループ活動に現れたと思います。
女性にもJA経営に参加・参画してもらうことがJAの活性化につながるし、それがひいては組合員の幸せづくりにつながると考えています。
◆経済的自立は1つの出発点
今村 直売所といえば、中村さんは「はちきんの店」を全国のトップランナーとして興しましたね。改めて経緯をお聞かせください。
中村 「はちきんの店」のきっかけは、家の光が提唱した「50万円自給運動」です。それを推進するため私たちは家庭菜園コンクールを企画しました。女性部役員と営農指導員で審査しようと農家の菜園に出向いたんですが、どの畑も非常にきれいに管理されていました。ただ、これが全部家庭で消費されるのかといえば、やはり花が咲いて薹が立ってしまって、ということもあってやはり食べきれていない。そこでこれをなんとかお金にできないか、と。・・・
(続きは 【特集】座談会・JAは地域の生命線 女性が創る地域力 で)