今年度は第2次食育推進基本計画の取り組み初年度として、27年度までに掲げている11項目の目標値の現状を報告。11項目中、達成できたのは▽「朝食または夕食を家族と一緒に食べる『共食』(きょうしょく)の回数」を週10回以上にすること、▽「農林漁業体験を経験した国民の割合」を30%以上にすることの2項目となった。
内閣府が23年12月にまとめた「食育に関する意識調査」結果では、家族と一緒に「ほとんど毎日食べる」人は朝食が60.3%、夕食が71.6%で、ともに前年調査よりも10ポイント以上増えている。
◆子どもの心身にも影響
今回の白書のポイントは「共食」の取り組み状況をまとめた点。第2次基本計画の重点課題の一つに、「家庭における共食を通じた子どもへの食育の推進」を掲げていることから、子どもと家族との食事の状況や行政や企業などによる推奨事例を盛り込み紹介している。
平成22年度の(独)日本スポーツ振興センターによる「児童生徒の食事状況等調査」では、朝食や夕食を「一人で食べる」子どもは「家族そろって食べる」子どもより疲れやすく、イライラすることが多いという結果となった。「共食」が心身の状況に影響していることがうかがえる例だ。
◆高齢女性の孤食目立つ
また重点課題には「生涯のライフステージに応じた食育の推進」も掲げていることから、子どもだけにとどまらず地域とのつながり状況も報告している。
「食育に関する意識調査」から1日のすべての食事を一人で食べるという人は70歳以上の女性が19.9%ともっとも多く、次いで60〜69歳の女性、70歳以上の男性で8.6%となっている。単身世帯の割合も70歳以上の女性が21.4%でもっとも高いことから単身の高齢女性に孤食の実態がみられる。
一方で、「地域とのつながりを大切」に思う意識が低い人や「近所付き合いなど地域の人々との行き来」、「地域のイベントに参加」を「全くしていない」という人ほど1日の全ての食事を一人で食べている頻度が「ほとんど毎日」であることがわかった。
内閣府は「食を通じた地域コミュニケーションの必要性や地域とのつながりが『共食』をすすめるうえで重要なポイント」としている。
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