大豆は、水田転作の主要作物として奨励されてきたが、ここ近年は横ばいからやや減少の傾向にある。それとは対象的に、飼料用米や米粉用米の作付が大きく拡大しているが、これは、水田を水田として使用でき、畑地化に伴う苦労が回避できる点が大きいようである。大豆は、排水の悪い圃場で栽培すると根腐れや病害によって被害を受けることが多いため、水田からの転作の場合は、まずは圃場の排水が鍵となるようである。
大豆に限らず、どの作物も地域毎に発生する病害虫が異なるため、防除対策は地域での発生状況に合わせて組み立てる必要がある。指導機関の防除指導や発生状況を確認した上で防除を行ってほしい。ここでは、主な大豆病害虫の特徴と防除上の注意点を2回に分け紹介する。
なお、防除薬剤の選定にあたっては「適用農薬剤一覧表」を参考に、適用病害虫、使用方法を確認して使用薬剤を選ぶとよい。一覧表には、希釈倍数などの使用方法詳細は省いてあるので、実際の使用場面では、農薬のラベルをよく確認して、正しく使用願いたい。
「大豆の主要害虫と防除法」は次号に掲載する。
病害虫の特性、地域ごとの実態に合わせた防除を
大豆の主要病害と防除法
紫斑病
◆開花2〜6週間ころに防除
文字どおり、大豆の子実に紫色の斑紋ができる病害である。発生すると品質が落ちるため、大豆の重要病害のひとつである。病原菌は、糸状菌(かび)であり、種子伝染する。このため、発生の無い圃場から取った健全種子をできるだけ用い、種子処理もきちんと行うことが大切である。なお、ベンゾイミダゾール系薬剤(トップジンMやベンレート)を種子処理に使う場合、同薬剤に耐性をもった病原菌が発生している場合があるので、指導機関に確認し、もし耐性菌が発生している場合にはこの系統の農薬は効き目がないので、散布も含めで使わないように注意する。この病害は、葉には褐色からやや紫色を帯びた濃褐色の病斑ができ、開花2週間から6週間ころ子実へ感染するので、農薬を散布する場合は、この時期を逃さずに防除する。結実期に気温が20℃くらいで雨が多いと発生しやすいので、このような気候の時は特に注意する。
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