農政・農協ニュース

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【現場で役立つ農薬の基礎知識】第10回 水稲害虫の上手な防ぎ方

 普通期の田植えもほぼ終わり、日本中の田んぼが緑に染まる頃になった。そして、これから出穂期にかけてが、重要な害虫防除時期でもある。
 近年は、気候の影響か年ごとに多発生する害虫が異なることが多く、「想定外」の発生により防除指導関係者を慌てさせる場合がしばしば起こっている。とかく想定外は厄介なものであるが、害虫防除の場合、できるだけ多くの害虫に効果のある殺虫剤を予防的に使っておくと、想定外の害虫の発生に対処しやすくなるようだ。
 今回は、水稲害虫の上手な防除のやり方について取材し、整理してみた。

地域ごとに発生害虫の種類・時期を把握して

主な水稲害虫
最近は中・後期防除を重視


 水稲の生育初期では、イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、ヒメトビウンカなどが主な防除対象害虫だ。しかし、これらは、近年普及が進んでいる育苗箱処理剤で防除できてしまうので、最近ではあまり問題となることはなくなった。あるとすれば、抵抗性害虫の発生による効果の低下が問題となるようだ。
 もっぱら、近年の防除上重要視されているのは中期や後期に発生する害虫であり、それは、カメムシをはじめとして、イナゴやニカメイチュウ、ツマグロヨコバイ、トビイロウンカ、コブノメイガ、フタオビコヤガ等の害虫である。
 これらの害虫についても、長期に持続する有効成分の開発により、育苗箱処理で効率的に防除できる薬剤も登場している。
 ただし、「育苗箱処理剤」は薬剤によって残効期間や防除対象となる害虫が異なるため、その地域での害虫の種類や発生時期を把握することが重要になってくる。

              ツマグロヨコバイ(雄成虫)  アカスジメクラガメ  ハネナガイナゴ

(写真)左からツマグロヨコバイ(雄成虫)、アカスジメクラガメ、ハネナガイナゴ

 

初期の害虫
◆ウイルス病を媒介するヒメトビウンカに注意

イネミズゾウムシとイネドロオイムシ

 イネミズゾウムシは、雑木林や堤防、畦畔などの雑草の株元で冬を過ごした越冬成虫は周辺のイネ科雑草を食べ、田植が始まると水田に侵入してくる。
 イネドロオイムシは、幼虫がドロの塊を背負っていることからこの名前がついた。寒冷地中心の害虫であるが、近年では暖地でも山間部を中心に発生している。
 この2つの害虫の被害はよく似ており、成虫と幼虫がイネの葉を食べて白くボロボロにすることであり、いずれも幼虫の被害の方が大きい。

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(2012.07.05)