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APECでのTPP交渉参加表明反対で緊急集会 超党派議員ら190人超が参加

 9月に開かれるAPEC首脳会談でのTPP参加表明が懸念されるなか、超党派議員らの呼びかけでTPP交渉参加表明に反対する緊急集会が8月30日、憲政会館で開かれ190人を超える議員が集まった。
 集会では各党代表が決意表明し「9月APECでのTPP交渉参加表明に反対する決議」(別掲)を行った。

あいさつする山田正彦氏 TPPを考える国民会議副代表世話人の山田正彦氏は「7月にカナダとメキシコがTPPに参加表明し12月から正式に2国が加わる。日本もその通知のための準備をしていることは確かで、着実に交渉参加に向かっている」として「交渉参加すれば後戻りはできない。ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)も参議院で可決されたが知的財産権の分野がTPPの懸念事項そのもの。日本の形そのものが変えられつつあることをしっかり認識しながらがんばっていきたい」とあいさつした。

(写真)
あいさつする山田正彦氏

◆各党代表13名が決意表明

 自民党の山田としお氏は「野田総理は政局の渦中にあり、当分の間、TPP参加申し入れは行わないといわれているが信用できないところがある。『近いうちに』といっている二枚舌を使われてはかなわない。超党派の集まりの中でなんとしてもこの総理の姿勢を変えなければならない。韓国と中国との緊張関係の中で“大事なのは日米同盟であり安全保障対策”という点でアメリカにさらにすりよる動きにも懸念している。自民党総裁選ではTPPへの姿勢についてしっかりと点検しようではないか」と訴えた。
 公明党の石田祝稔氏は「TPPは第3の開国だといっている人がいるが第1の開国の時に不平等条約を結ばされ、その解消に40年もかかった。TPPにもそういう恐れがある。私たちの子孫にその重荷を背負わすことになることも歴史に鑑みなければならない。民主党代表選はTPPに対してどういう態度をとるのかをひとつの基準にして政府与党のみなさんに慎重な判断をいただきたい」と話した。
 日本共産党の志位和夫委員長は「9月のAPECでもTPP参加表明は先送りすると報じられたが経団連はどんなに遅くとも今年中の参加を強く迫っている。総理は表向きは情報収集としながら実質的には国民に隠れてなし崩し的にTPP参加を進めようとしている。秘密交渉でのTPP参加は許せないという声を上げようではないか。圧倒的多数の国民がTPPにNOということが勝利のカギだ」と述べた。
 先月、民主党を離党した女性議員4人で結成したみどりの風の舟山康江氏は「離党の一番の柱はTPPに対する野田政権への失望と抗議。民主党は当初、新自由主義路線に反対すると訴えて政権交代したはず。ところがTPPこそまさに新自由主義路線の究極の形ではないか。一番新自由主義を追求しているアメリカは一番貧困の問題が深刻で格差が拡大している。今こそこの流れを止めていかなければ、3.11後の新しい価値観による日本の再生はあり得ない。反TPPを一致協力して運動を盛り上げていきたい」と述べた。その他13名の各党議員があいさつした。

◆米国依存から脱却を

 また、元外務省国際情報局長の孫崎享氏が「TPPの正体」と題して特別講演した。
 孫崎氏は本紙のTPP特集号で大妻女子大学教授の田代洋一氏との対談に登場し、日本の安全保障の視点からTPP問題について指摘した(内容はこちらから)。
 この日の講演でも日本の輸出相手国は米国よりもTPP不参加の東アジアであることや、90年以降、アメリカとの安全保障政策による一体化からの日本の経済成長は横ばいのままで「米国のお陰で発展する図式は終わっている」ことなどを示し、米国に追随することによって日本が繁栄するというアメリカ依存の考え方からの脱却の必要性を強調した。


【9月APECでのTPP交渉参加表明に反対する決議】

 野田政権の最優先課題であった消費税法案が可決し、これまで「消費税法案成立の障害になる問題は先送りする」との政府方針のもと、影を潜めていたTPP交渉参加問題が、新たな局面を迎えている。
 TPPは例外なき関税撤廃と非関税障壁についてのルール作りがなされ、医療・医薬品・知財・食品安全基準・公共調達・郵政・共済など国民生活に大きな影響を及ぼす事が明らかになっており、国民の間でもTPPに対する懸念が日増しに大きくなっている。
 9月初旬のAPECでは、野田総理とクリントン国務長官との会談が予定されており、9月中旬の国連総会にはオバマ大統領も参加する予定である。
 外務省では日本のTPP交渉参加に関する米国議会通知の内容について準備がなされているとの情報がある。しかし、国民に対する情報開示や国民的論議が圧倒的に不足する中で、国民を顧みない政治決断によってTPP交渉参加の表明がなされることがあってはならない。
 かかる事態を深く憂慮し、私たちは、9月にAPECならびに国連総会でのTPP交渉参加表明を阻止する為、次のとおり決議する。


主文
 9月のAPECならびに国連総会において、TPP協定交渉への参加を表明することには断固反対である。

平成24年8月30日
超党派国会議員有志一同

(2012.09.03)