営農類型を示し農業を再建
地域の農業資源をJAがどう掘り起こすか
◆海岸部から山間部まで多彩な農産物
JA愛媛たいきは平成11年にJA大洲と喜多郡のJA内子町、JA長浜青果、JA五十崎町、JA肱川の5JAが合併して誕生した。行政としては1市4町1村がJA管内となった。
「たいき」の名前は大洲市の「大」と喜多郡の「喜」を合わせたもの。大樹、大器、大輝をイメージした。
管内は伊予灘に面した海岸部、大洲市を中心とした平野部、さらに標高300メートルを超える山間部までさまざまな条件の地域を抱えており、地形差や標高差を反映した多彩な農産物が生産されている。
おもな農産物は野菜(キュウリ、イチゴ、スイカ、ナス、ピーマンなど)の施設・露地栽培、果樹では柑橘類のほか、柿、ブドウ、栗、キウイフルーツ、ナシ、モモなどと品目は多い。
さらに米では県特別栽培米の認証を取得、「ふれ愛 (あい)媛(ひめ)ポーク」のブランド名で販売する養豚、梅干し漬の原料と漢方薬原料としてのシソの契約栽培なども盛んだ。
◆販売ルートの開拓に力
JAとして力を入れてきたのは販売流通ルートの多様化だ。市場出荷のほかにいかに消費者にJA愛媛たいきの農産物を届けるか、それを生産者の手取りにいかにつなげるか、である。
そのために3年前から営農企画課に企画販売を担当するプロジェクトを立ち上げた。
そのプロジェクトの取り組みを象徴するひとつが、平成22年にオープンした「たいき産直市・愛(あい)たい菜(な)」である。
平成23年度には年間販売額が9億円を超えた。品揃えのうち85%は地元生産者からの出荷品で出荷者の会員数は755名いる。
朝の6時半から出荷者は商品の搬入作業を始める。自分の農産物にバーコードを張る作業はJAのファーマーズマーケットでのおなじみの光景となっているが、この「愛たい菜」では市況情報や、曜日別販売実績、出荷品目と売れ行き状況などの情報を画面で提示するシステムを先進地の視察をヒントに導入、生産者の栽培・出荷の計画に役立つ情報も提供している。
直売所の開設は長年の懸案で期待していた生産者は多く、会員は管内全域から集まった。ただし、直売所から40kmほど離れた山間部の集落もあるため、そういった地域では支所に出荷すればJAが集荷する体制をとっている。
販売品を商品別にみると野菜40%に続き加工食品31%、果物8%、花き6%と加工品に取り組む会員が多いことが伺われる。
(写真)
「たいき産直市・愛たい菜」。愛媛県の統一キャッチフレーズ「愛媛産には愛がある」や「JA愛媛たいき」の「愛」と「たい」、そして野菜産地のイメージの「菜」を組み合わせて「愛たい菜」とした。人と自然、人と人、食と心を結ぶ「絆の里」として「会いたいな」の気持ちも込めた
(続きはこちらから)