農政・農協ニュース

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【現場に役立つ農薬の基礎知識】第17回 湿害を受けやすく長雨は大敵  秋播きコムギの防除

 お盆を過ぎてからも猛暑が続き、その影響なのか猛烈な豪雨が各地を襲い、各地に大きな被害をもたらした。「暑さ寒さも彼岸まで」というが、ようやく、その言葉どおりに急に朝晩が涼しくなり、過ごしやすくはなったが、あまりにも急激な気温の変化なので体調を崩す方も出てくると思うので、くれぐれもお気をつけ願いたい。
 ところで、今年は、8年ぶりに6月に台風が初上陸したが、この6月の台風上陸が曲者で、「6月に台風が上陸する年は台風の上陸回数が多くなる」そうだ。過去の統計データからすると、台風の初上陸が6月の年の場合、その年の台風上陸回数は、年平均の2〜3倍の回数となり、日本近海での発生数からみても、上陸確立はかなり高いとのことだ。なぜ、そんな心配をするかというと、今回の主題であるコムギが湿害を受けやすい作物であるからで、特に秋から冬にかけての長雨は大敵である。特に11月の長雨となると、播種時期が遅れて、苗立ちが悪くなり穂数も少なくなってしまう。
 今回は、大豆に並んで水田転作の主力作物であるコムギの防除対策について取材した。

◆まず畑を乾燥させよう

 秋播き小麦は、まず雑草の退治と畑の乾燥から始まる。
 一般に秋の播種前に、過繁茂している雑草を非選択性茎葉処理除草剤で早めに枯らしてきれいにしてから、播種前に2〜3回耕転して畑を乾かしておく必要がある。
 特に、水稲跡作の場合は水稲の終了後速やかに準備を始める必要がある。排水溝を掘って水はけを良くするなどして乾燥を十分にしておく。FOEAS(地下水位自動制御システム,農研機構・全農)を活用すれば、この水分制御が効率よく進めることができるようになる。
 また、コムギは酸性に弱いので、田んぼが酸性に傾いていることが多い水稲の跡作では、苦土石灰など石灰質資材を投入し、pHを適正に保っておくとよい。


◆播種前後にきちんと除草対策を

カラスノエンドウ それで、無事に畑の乾燥がすめば、いよいよ播種となるが、播種の前後に除草剤を使ってきちんと雑草対策をやってほしい。
 耕起前に非選択性除草剤によって雑草を一掃させて安心したいところだが、播種後も越年生雑草を中心とした畑地雑草が生育してくるので、対策は怠りなくやっておきたい。
 コムギ畑で被害を起こす主な雑草は、スズメノテッポウ(越年草・生育期間10〜6月・イネ科)、ヤエムグラ(越年草・生育期間10〜7月・アカネ科)、カラスノエンドウ(越年草・生育期間11〜9月・マメ科)、カラスムギ(越年草・生育期間9〜10月・イネ科)である。
 いずれも、秋に生えて冬を越し、コムギの生育期間全般で生育し続けるので、対策には万全を期したい。

(写真)
カラスノエンドウ


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(2012.10.09)