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韓国、基本法制定で協同組合に新たな動き

 韓国では農協法や生協法など8つあった個別法とは別に2011年12月に「協同組合基本法」が成立した。同法制定の背景や最近の協同組合の動きなどについて、パルシステム神奈川ゆめコープの招きで来日した韓国の生協組織の理事長、アン・インスクさんが11月東京都内で講演した。

 アン・インスクさんは アン・インスクさんはソウル市の北西部に隣接する高陽(コヤン)市にあるコヤンパジュ女性民友会生協の理事長。同生協のほかソウルなどの5つの地域生協で構成する連合組織が女性民友会生協で会員数は2万4000人ほどになるという。
 生協組織は近年、政府に対して学校給食の無償化や食生活教育法、協同組合基本法の制定を働きかけてきたが「基本法がいちばん早く実現した」。
 その背景には急速に経済発展を実現する一方で格差の拡大など社会の両極化が進んできたことや、公益的な事業を行う社会的企業への政府の財政支援も限界となってきたことなどがあるといい「これらを市民の力で乗り越え、高齢社会が進むなか社会サービスも担う組織として政府が期待した」のだという。

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 基本法では協同組合に対する政府の責務と協同組合政策の確立、自治体の協同組合に関する教育などの支援を位置づけた。
 とくに注目されたのは設立要件の大幅な緩和だ。たとえば生協はこれまで同意者300名以上、出資金3000万ウォン以上という規定があったが、基本法では5人以上でさまざまな協同組合が設立できるようになったという。 このため市民や自治体の関心も高まり、ソウル市では市長が「協同組合都市ソウル宣言」を出し、社会的経済課と協同組合政策チームを市庁のなかに新設した。
 ソウルでは27の行政区にそれぞれ医療生協を設立する構想が打ち出されたり、介護、育児、住宅供給などの協同組合や労働者協同組合による新たな職場づくりといった動きが出てきたという。また、過疎に悩む地域では観光資源に人を呼び込むためのバス運営を地域の協同組合が担おうという話もあるという。 米韓FTAが発効して8か月近く。その影響についてアン理事長は具体的には触れなかったが、国境なしに開放された市場に向かって狂ったように走っていく流れに便乗しようという政府の誤った哲学が国民にもたらす災難を減らすためにも私たちは新しい選択をしなければならない、との考えを強調するとともに、継続的な反対闘争が重要で、そのためにも協同組合が注目される韓国社会のなかで、「リーダーの育成が課題」などと述べた。

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