事業取扱高の状況は、貯金残高が前年より2.8%増加した。これは全国的な増加傾向と、東北地域での震災に伴う共済金の受け入れや原発損害賠償金の流入等が影響したため。
一方、他部門は貸出金▲1.2%、長期共済保有高▲2.4%、購買品供給取扱高▲0.5%、販売品販売取扱高▲1.7%と減少した。
貸出金の減少は新規貸出の伸び悩みや借り換えなどによる残高減少が主な要因となっている。また、東北県域では震災に伴う共済金を原資とした繰り上げ償還の発生、地域経済の低迷などの影響がある。
全体で減少傾向となった購買・販売事業は、県域によってさまざまな要因が見られる。購買では農薬などの供給量や生活購買の減少による影響がある一方で、飼料・原油単価の上昇による増加もある。
販売では原発事故に伴う風評被害・出荷制限による減少の一方で米の単価改善による増加などがある。
◆事業総利益は9期連続減
損益の状況では、事業総利益は前年比▲0.0%とほぼ横ばいで、9期連続の減益となった。事業別にみると信用事業総利益と販売事業総利益がそれぞれ0.8%、1.2%の増益、共済事業総利益と購買事業総利益は▲0.5%、▲1.6%で減益となった。
事業管理費は全体で▲1.0%(▲167億円)で、そのうち人件費は▲0.7%(▲81億円)と10年以上減少が続いている。
ただし、人件費は平成15年の▲4.3%をピークに年々削り幅が縮小しており、人件費による事業管理費の削減は限界にきていることがうかがえる。
事業利益は事業総利益がほぼ前年並みのなか、事業管理費の減少で前年比9.2%増の160億円、経常利益も同9.6%増の214億円となり、2期ぶりにプラスに転向した。
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