中国、トウモロコシの輸入先多元化を検討
国内生産量は史上最高
◆価格高騰で増産意欲
(独)農畜産業振興機構調査情報部の河原壽氏によると、中国でも今年は干ばつが発生したが、発生地域が雲南省、貴州省など西南部でトウモロコシ主産地の黒竜江省、吉林省など東北部では限定的だった。
同氏によると、黒竜江省ではトウモロコシと大豆の1ム(約6.7a)あたりの収益差は2005年の60元から2010年には163元に拡大している。1元を12.5円として10aあたりに換算すると大豆よりトウモロコシのほうが3051円収益が高いという。このため同省では収益の高いトウモロコシへの転換が進んでいる。2009年にはトウモロコシ、大豆ともに同省内の作付け面積は401万haだったが、2010年にはトウモロコシが437万ha、大豆が355万haと逆転した(中国統計局・中国農業統計年鑑)。
◆工業用需要も拡大
河原氏の調査によれば、中国国内の2級トウモロコシ価格(規格:1リットル685g以上710g未満)は2000年から03年ごろまでは1t1100元前後だったが右肩上がりに上昇し11年には2300元以上になっている。
価格の上昇は需要の増加。畜産物の需要増で飼料用需要が拡大していることはすでに指摘されていることだが、たとえば豚用配合飼料は07年2411万tだったが11年には5050万tに増えている。豚肉の生産量も07年の4288万tから11年には5053万tに伸びている。
畜産物の需要増以外の食生活の変化もトウモロコシ価格の上昇の要因となっている。中国ではでん粉の生産量の95%がトウモロコシを原料に生産されているというが、一方で国内の砂糖価格が高騰、そのため代替甘味料原料としてのトウモロコシ需要も高まっているという。
(表)(「海外食料需給レポート」農水省)
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