今年で5年目となるこの調査は「家の光家計簿」の記帳者を対象に2010年12月から2011年2月に実施した。有効回答は343票。
◆「農業収入」大きく減少
2010年の1世帯あたりの平均総収入額は720万円で昨年より50万円減った。総収入額は毎年右肩下がりに推移し、920万だった2006年の調査初年から200万円も減少している(※ただし追跡調査ではないため、調査年によって人数、世代に差があることから一概には比較できない)。
農家世帯に限ってみると総収入額平均は前年比49万円減の1017万円。なかでも「農業収入」は375万円で、前年を43万円(10.3%)と大きく下回っており、その要因として2010年の猛暑や口蹄疫が影響したとみている。
調査に協力した農家からは「猛暑で電気代が前年より多かった」、「夏の猛暑と米価の値下げで大変な1年だった」、「口蹄疫に直面した5月、6月はほとんど外出せず食費はほかの月の10分の1程度…」という声が届いている。
◆家計支出トップは「臨時費」
一方、総支出額の平均は家計支出や貯蓄などが増加して昨年より約10万円多い730万円で、平均収入額を上回る結果となった。
農家世帯でも前年比45万円増の1010万円で過去最高額となり、収入の減少に反して支出が増加しているという農家の実態がみえる。
また総収入額から「農業支出・農外支出・租税計」を除いた可処分所得は555万円で昨年比24万円の減。非農家世帯は前年とほぼ同じだったが、農家世帯は4.0%減の705万円となり、家計支出が前年並みだったことからみると、農家世帯の可処分所得に占める家計支出の割合が高くなっていることがわかる。
家計支出を費目別にみると自家の婚礼や葬儀などの「臨時費」がもっとも多い。特徴的なのは非農家世帯に比べ農家世帯の家計支出が1万円以上も高いことだ。どちらも「臨時費」の支出がもっとも多いが、農家は非農家より8000円以上も多い結果となった。
◆家計への満足度は減少
現在の家計について「満足している」と答えた人は全体の54.2%で前年より2.5ポイント減った。
家計への不満に対する内容を聞いたところ、収入に関する不満が特に目立ち、なかでも「収入が少ない/減った」という回答が多かった。
そのほか「年金だけでは足りない」、「農業収入が少ない/赤字」、「農業収入が不安定」などがあがった。
家計の不足額について「今の家計で十分」とする人は前年より0.3%少ない30.9%で、年々減少傾向にある。今回は「月に1万〜5万円」という人が42.2%でもっとも多い結果となり、「5〜10万円」という人の割合は前年より減った。
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