この調査はJA女性組織のメンバーや『家の光』購読者など、「家の光家計簿」の記帳者を対象に家計簿から農家の家計の実態をつかむ目的で実施しており今年で6回目。協力者のほぼ9割は女性だが毎年1割弱は男性だ。今年の調査数は359。
この調査は追跡調査ではないため、調査年によって人数、世代に差があることから一概に比較はできないが、2011年の1世帯当たりの平均総収入額は約660万円で前年から約60万円減少した。特に農外収入での減少が約40万円で大きくなっている。
◆「臨時費」支出が大幅減
支出額の平均も約635万円で前年より約100万円減った。年代別にみると50代の支出が前年から大きく縮小した。
総支出のうち減少が顕著だった項目は家計支出で、大きく減少した項目は自家の婚礼や葬儀、還暦祝いなどの「臨時費」。調査を開始した07年を100とした場合の指数は65.2%で、大きく伸びた前年の129.4%から半減した。その他、前年から減少が目立ったのは「衣服・身の回り品費」、「自動車・交通費」、「こづかい・雑費」、「交際費」で必要性が低いものへの支出を控える傾向がうかがえる。
一方、「住居・家財・光熱水道費」は唯一07年水準を上回っている。
現在の家計に「満足している」という人は53.6%で半数以上であるものの年々減少している。家計への不満要因は「収入が減った、少ない」や支出の多さ、「家計に余裕がない」といった収支バランスが多いようだ。
◆自家生産物の活用、年々増加
家の光家計簿の特徴は、米や野菜など自家生産物の活用を記入する点。自家生産物を家計の一部にすることで家計費を抑えられるとしてすすめている。
今回の調査協力者のうち自家生産物を活用している世帯は22.5%で、調査開始から増加傾向にある。
活用額は14万8000円で前年より約1万円増え、家計支出に占める割合は4.4%となっている。
自家生産物を活用している世帯は高齢層になるほど高いが、40代、50代の活用も年々増えている。
家計簿記帳の有無にかかわらず1年間のうち自家生産物を家計の一部として活用した世帯は81.6%にのぼる。
自家生産物の活用について「数値化することで加工して保存食にするなどもっと工夫していきたい」、「季節ごとに収穫した野菜中心に献立を考えるようになり飲食費を減額できた」といった声が寄せられている。
また、今年は「震災・原発で農作物がほとんど作れず自家野菜を食べることができなかった」という震災の影響もみられた。
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