市は「農業風評被害に関する生産者アンケート調査」を平成24年10月に実施し、110人の農業従事者から回答を得て結果を同月末にまとめた。
結果は、震災直前を100とした場合、農業収入の回復度は平均70%となり、深刻さを裏付けるものとなった。
また49%が「農業の規模が縮小した」と答えた。これは「かなり縮小」の16%と、「やや縮小」の34%を合計したものだ。
また農作物の風評被害については昨年と比べ「縮小した」との回答が60%であったのに対し「変わらない」、「やや拡大した」「拡大した」との回答は合計すると4割に達し、依然として風評被害が根強く残っている様子がうかがえる。
さらに、農業経営に対する風評被害の影響については「かなり深刻」、「やや深刻」の合計が66%にも達した。
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深刻な実態を物語る事例の一端を回答の中からピックアップしてみた。
数値上は安全であっても、「福島産」というだけで敬遠される▽県外との取引は未だにゼロのまま▽契約栽培もゼロのまま▽息子に農業を継がせることはあきらめた▽消費者をどのように説得すれば良いのか、わからない▽風評被害対策は、震災前の状態へ戻ることではなく、震災前以上になること。
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