◆動くしかない、の思いを
――JA全国女性協は平成19年度から新3か年計画「JA女性 かわろう かえようSTEP2―食と農を育む未来計画―」に取り組んできました。
それをふまえて22年度からは新3か年計画「JA女性 気づこう一人ひとり、行動しよう 仲間とともに」へとステップアップするということですが、新3か年計画についての会長の思いをお聞かせください。
佐藤 「かわろう かえよう」運動は、ステップ1と合わせて6年間続けてきましたから、私は、もう変わった、と思っています。
私も「変わろう 変えよう」という言葉が大好きで、まず自分たちが変わり、そして周りを変えていこうという気持ちでしたが、もう次のステップに行かないと。次のステップは実践しかない、動くしかない、ということです。意識は変わった、といっても、行動に移さないと意味がありません。
新3か年計画は「気づこう一人ひとり、行動しよう 仲間とともに」がスローガンですが、まさに「気づいたらすぐに行動しよう」という意味を込めているわけです。これをみんなでやれば力になるはずです。
◆女性参画はJAの課題
――新3か年計画ではJA運営への参画促進も重要な課題としていますね。現状についてはどうお考えですか。
佐藤 女性理事等がゼロというJAがまだ400弱もあり、女性組織の役割・位置づけ、女性たちの活動をJAがきちんと評価することが大事だと思います。(別掲記事参照)
もちろん女性組織自体も正当な評価につながる活動が必要ですし、自らの学習活動も大切です。周りに認めてもらえるには自分たちで動くしかない。女性組織の活動を今の時代にあっているかと見つめ直すことは大事ですが、そこに気づいたから、その後は行動です。周囲から見えるのは行動、実践です。このことを今度のスローガンは分かりやすく言っていると思っているんです。
同時にJAトップ層などの意識改革も求めていくことも大切だと考えています。
一方で、女性理事枠が作られ女性の意思がJA運営に反映できる道ができたJAであっても、女性理事の数を増やすという観点からすれば、自分の任期が終わったら次の女性部役員にその理事枠をバトンタッチして終わりにするのではなく、今度は地域から理事に選ばれるようにしなければいけないと思いますね。自分ではなくても地域から誰かの背中を押すということでもいい。そういった働きかけが起きてくればいいと思っています。
やはり自分たちの農協だという考えでJAに関わっていかないと本当の意識改革にならないと思います。
◆大切な地域の下支え活動
――JA女性の具体的な活動としてこれからは何を期待しますか。
佐藤 直売所活動や高齢者福祉活動などはいちばん目に見える活動ですし、経済的にもメリットがある活動です。
とくに今は経済状況は非常に厳しくなっていますから、仲間が集まって活動することが大事になっていると思います。
ただ、自分たちが何ができるかは、自分たちで探しに動くということが必要です。成功するか、しないかは別として、何かしらの行動を起こさないと。準備された活動を誰かが持ってきてくれることを待っていてはだめだということです。
それから活動といっても、農協は運動体ですから、見えないところの助け合い、支え合い、そういうところにも目を向けていかないと本当の地域貢献とは言えないと思います。
報酬はなくても地域のお年寄りを支えるとか、子育て支援も協同でやる、それが地域の貢献になると思います。
すべてに経済的な見返りがあるというものではなくて、やはり心のつながりです。そこを出せるのは女性の感性や知恵ではないかなと思いますね。
田舎では一人暮らしの老人世帯も多くなっていますから、声をかけるだけでも本当に喜ばれる。これは男性であっても大事なことだと思いますが、女性部ならではの活動だと思いますし、私は女性には地域を下支えする力があると思っているんです。
――女性組織の活動はそもそもJAにとっての課題でもあるといえそうですね。
佐藤 介護にしても、直売所活動にしても、地域が必要としていることに一歩先に取り組んできたのが女性たちです。
女性部が自分たちの活動として試行錯誤で始めて、それが農協の事業になっていったということのほうが一般的ではないでしょうか。
JAが女性の力を生かすことは当たり前ですし、私は農協運動は組合員も役職員も一緒になって手をつないで行うものだと思います。みんな同じ地域の生活者として、地域の人たちを励まし合うということが根本にあると思っているんです。