TPPの大筋合意を引っくり返そう2015年10月6日
TPP交渉は、日程を再延長しても合意できず、再々延長して、ようやく大筋合意した。議長国でもあるアメリカの、軍事力だけに頼る外交力はこの程度か、と各国は呆れたことだろう。
合意の結果、アメリカを盟主とし、中国と敵対する強力な経済ブロックが作られることになった。財界に洗脳された多くのマスコミは、巨大な自由貿易圏ができた、と舞い上がっているが、ノンキなものだ。
これは、戦前にみられたような、世界経済のブロック化による分断と、その結果、戦争へ突っ走った道である。
また、合意の結果、日本の農政は、日本農業の壊滅と、農村の抹消へ向かう道を、まっしぐらに突っ走ることになる。農業、農村だけではない。医療の崩壊、ISD条項による国家主権の一部放棄も同時に進行することになる。
こうした反国民的、好戦的な悪政は阻止しなければならないし、農業者をはじめとする国民の力を結集すれば、今後、阻止できる。
こうした反国民的なTPPは漂流すればよかったのだ。しかし合意してしまった(内容はココ)。なぜか。甘利 明TPP担当相によれば、各国には政治日程があって、いま合意しなければ、TPPは年単位で漂流すると脅かし、日米が先頭に立って合意を推進したからである。
大多数の農業者が反TPP運動を強め、TPPの漂流を要求していたのに、同行した自民党農林族の重鎮の森山 裕議員は「大筋合意まで達成したいと強い気持ちを持っている」(日農10.4日)と反農業者的な発言をし、合意を後押しした。そうして怨嗟の的になっている。今後、農業者にとって忘れることの出来ない重大な発言である。
◇
甘利担当相が言う各国の政治日程とは、来年11月のアメリカ大統領選挙だけでなく、来年7月の日本の参議院選挙を意味している。
来年の参院選が間近かになって、反国民的なTPPの議論をしていたのでは、与党は、とうてい選挙に勝てない。だから、今のうちに決着しておこう、そうすれば、選挙までに間があるから、国民は忘れるだろう、という不遜な計算があったに違いない。
だが、忘れられるほど些細なことではない。TPP交渉をしている間も、将来への希望を奪われた農業者は、農業から離脱した。ことに、若い農業者は、いまのうちなら第2の人生を歩める、として離農した。
TPP合意を傍観していたら、今後、こうした動きは加速されるだろう。それは食い止めねばならない。
◇
離農の動きを食い止めるには、まずTPP合意の国会批准を阻止することである。そうすればTPPは事実上漂流する。そのためには、国会の反TPP勢力を、党派を超えて結集することである。せめて、批准のときに心ある議員の多くが欠席するか、棄権することを要求したい。
かりに批准を阻止できなかったとしても、次の参院選で反TPP派を多数派にすれば、こんどの合意をひっくり返すことができる。そうすれば、TPPは空中分解する。アメリカが民主主義国家だというのなら、日本の選挙結果によるTPPの空中分解を受け入れざるを得ない筈だ。
◇
反TPP運動は、こんどの大筋合意で終わったわけでは決してない。これからが反TPP運動の正念場になる。それは、さらに強力な運動になるだろう。そして、その底力が試されることになる。相手は手ごわい。
TPPは、財界の強力な後押しのもとで、アベノミクスの主柱に位置づけられた重要な経済政策である。それゆえ、昨年夏から1年がかりで、反TPP運動の中心にいる全中つぶしに取りかかった。そのために、自民党農林族の影響力を使った。また、そのために、農協法を改悪し、全中をつぶそうとしている。
◇
だが前途は決して暗くない。いまでも全国の各地では、大多数の国民がTPPの反国民性、好戦性を知っていて、反TPP運動に参加している。今後、TPPが、かりに発効しても、その影響が事実として目の前に現れるにつれて、さらに多くの国民がTPPの破棄を要求するだろう。
労働組合が、賃上げを政府に頼るまで無力になったいま、財界と正面から対峙して、国民の要求を結集する主軸は農協しかない。
農協は、今後の反TPP運動でも、その主軸になり続けるだろう。大多数の国民は、これまでの反TPP運動で培ってきた農協の結集力に、強い期待を寄せている。
(前回 「積善の家に餘慶あり」という思想)
(前々回 中国は包囲網で圧迫されている(続き))
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