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甘利氏の金銭疑惑を追及する戦略2016年2月1日

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【森島 賢】

 TPP交渉で最高責任者だった甘利 明氏が、先週、金銭疑惑で大臣を辞任した。
 TPPは、法を遵守し、自由という価値観を共有する国の集まりだとウソブイテいる。だが、TPPのいう法の遵守と、共有する価値観とは、金銭に至上の価値をおき、金銭のためには自由に法をも犯す、というもののようだ。
 いまの国会は、TPP国会といわれている。そうした中でのTPP担当大臣の辞任である。野党は、オニの首でも取ったようにハシャイデいる。国会で真相を究明し、首相の任命責任を追及しようとしている。
 そのことに異論を唱えるつもりは全くない。激励したい。しかし、ここで言いたいのは、そのことではない。野党が、そこで何を獲得したいのか、つまり戦略目的が分からない、ということである。

 政府の失敗を暴露するだけでは、国民の支持には、つながらない。政府をイジメルことだけが目的ならば、国民の支持は広がらない。国民とは関わりのない党利党略としか思われない。政府も悪いが、そうかといって、野党を支持する気にもなれない、というだけで終わってしまう。そうして、国民の政治不信を深めるだけである。

 TPP国会といわれる今の国会で、野党が行うべきことは、政府をイジメルことではない。そうしてウップンを晴らすことではない。TPPの反国民性を暴露することである。そこに政府を追求する戦略目的をおくことである。そうして、再交渉の要求、TPP交渉からの離脱の要求に戦略目的をおくことである。
 この戦略のもとで、真相の究明と責任の追及を行うべきだろう。そうすれば、国民の支持が広がる。

 TPPは、辞任に追い込まれたような価値観をもつ人物が、最高責任者として交渉し、大筋合意したのである。だからTPPには、そのような価値観が植え付けられている。
 そのTPPは、大多数の国民にとっての国益を害そうとしている。農業を壊滅させ、農村を荒廃させようとしている。そうして、財界の金銭的利益を追求しようとしている。
 それは、TPP交渉の最高責任者だった甘利氏の価値観、つまり、金銭的利益を至上とする価値観に基づいている。その価値観を俎上にのせて、国民の前に明らかにすることこそが重要である。
 同時に、そのような価値観を持つ人物にTPP交渉を任せた首相、つまり、同じ価値観をもつ首相の責任を追及することである。
 このような戦略と戦術のもとでの金銭疑惑の追及なら、多くの国民の喝采が得られるだろう。野党への支持が広がるだろう。

 5か月後には、参院選がある。その勢いで選挙に突入すれば、野党にとって極めて有利になる。
 農村では、TPP交渉離脱の旗が大きくはためくだろう。都市では、安保法制の廃止の声が高く響き渡るだろう。それらは、中央政界を取り囲み、政治を激しく揺るがすに違いない。

 野党がバラバラの状態のまま、中央政界を揺るがすだけで、満足していてはダメだ。野党が結束して、TPP離脱と安保法制の廃止という戦略目的を実現しなければダメだ。実現するには、国会で多数派にならねばならぬ。
 野党間でいがみあって、結束に賛成しないような野党は、国民から見捨てられるだろう。大きく結束し、選挙協力をすれば、国会で多数派になれる。与党もウカウカしてはいられない。こんどの参院選が、政治を国民の手にとり戻す好機になる。
 甘利氏の金銭疑惑に関わる追求を、6月の参院選に向けた反TPP運動の戦略の中に位置づけねばならない。
(2016.02.01)

(前回 野党のヤル気

(前々回 TPPを参院選の主要な争点に

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