甘利氏の金銭疑惑を追及する戦略2016年2月1日
TPP交渉で最高責任者だった甘利 明氏が、先週、金銭疑惑で大臣を辞任した。
TPPは、法を遵守し、自由という価値観を共有する国の集まりだとウソブイテいる。だが、TPPのいう法の遵守と、共有する価値観とは、金銭に至上の価値をおき、金銭のためには自由に法をも犯す、というもののようだ。
いまの国会は、TPP国会といわれている。そうした中でのTPP担当大臣の辞任である。野党は、オニの首でも取ったようにハシャイデいる。国会で真相を究明し、首相の任命責任を追及しようとしている。
そのことに異論を唱えるつもりは全くない。激励したい。しかし、ここで言いたいのは、そのことではない。野党が、そこで何を獲得したいのか、つまり戦略目的が分からない、ということである。
政府の失敗を暴露するだけでは、国民の支持には、つながらない。政府をイジメルことだけが目的ならば、国民の支持は広がらない。国民とは関わりのない党利党略としか思われない。政府も悪いが、そうかといって、野党を支持する気にもなれない、というだけで終わってしまう。そうして、国民の政治不信を深めるだけである。
◇
TPP国会といわれる今の国会で、野党が行うべきことは、政府をイジメルことではない。そうしてウップンを晴らすことではない。TPPの反国民性を暴露することである。そこに政府を追求する戦略目的をおくことである。そうして、再交渉の要求、TPP交渉からの離脱の要求に戦略目的をおくことである。
この戦略のもとで、真相の究明と責任の追及を行うべきだろう。そうすれば、国民の支持が広がる。
◇
TPPは、辞任に追い込まれたような価値観をもつ人物が、最高責任者として交渉し、大筋合意したのである。だからTPPには、そのような価値観が植え付けられている。
そのTPPは、大多数の国民にとっての国益を害そうとしている。農業を壊滅させ、農村を荒廃させようとしている。そうして、財界の金銭的利益を追求しようとしている。
それは、TPP交渉の最高責任者だった甘利氏の価値観、つまり、金銭的利益を至上とする価値観に基づいている。その価値観を俎上にのせて、国民の前に明らかにすることこそが重要である。
同時に、そのような価値観を持つ人物にTPP交渉を任せた首相、つまり、同じ価値観をもつ首相の責任を追及することである。
このような戦略と戦術のもとでの金銭疑惑の追及なら、多くの国民の喝采が得られるだろう。野党への支持が広がるだろう。
◇
5か月後には、参院選がある。その勢いで選挙に突入すれば、野党にとって極めて有利になる。
農村では、TPP交渉離脱の旗が大きくはためくだろう。都市では、安保法制の廃止の声が高く響き渡るだろう。それらは、中央政界を取り囲み、政治を激しく揺るがすに違いない。
◇
野党がバラバラの状態のまま、中央政界を揺るがすだけで、満足していてはダメだ。野党が結束して、TPP離脱と安保法制の廃止という戦略目的を実現しなければダメだ。実現するには、国会で多数派にならねばならぬ。
野党間でいがみあって、結束に賛成しないような野党は、国民から見捨てられるだろう。大きく結束し、選挙協力をすれば、国会で多数派になれる。与党もウカウカしてはいられない。こんどの参院選が、政治を国民の手にとり戻す好機になる。
甘利氏の金銭疑惑に関わる追求を、6月の参院選に向けた反TPP運動の戦略の中に位置づけねばならない。
(2016.02.01)
(前回 野党のヤル気)
(前々回 TPPを参院選の主要な争点に)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(138)-改正食料・農業・農村基本法(24)-2025年4月19日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(55)【防除学習帖】第294回2025年4月19日
-
農薬の正しい使い方(28)【今さら聞けない営農情報】第294回2025年4月19日
-
若者たちのスタートアップ農園 "The Circle(ザ・サークル)"【イタリア通信】2025年4月19日
-
【特殊報】コムギ縞萎縮病 県内で数十年ぶりに確認 愛知県2025年4月18日
-
3月の米相対取引価格2万5876円 備蓄米放出で前月比609円下がる 小売価格への反映どこまで2025年4月18日
-
地方卸にも備蓄米届くよう 備蓄米販売ルール改定 農水省2025年4月18日
-
主食用МA米の拡大国産米に影響 閣議了解と整合せず 江藤農相2025年4月18日
-
米産業のイノベーション競う 石川の「ひゃくまん穀」、秋田の「サキホコレ」もPR お米未来展2025年4月18日
-
「5%の賃上げ」広がりどこまで 2025年春闘〝後半戦〟へ 農産物価格にも影響か2025年4月18日
-
(431)不安定化の波及効果【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月18日
-
JA全農えひめ 直販ショップで「えひめ100みかんいよかん混合」などの飲料や柑橘、「アスパラ」など販売2025年4月18日
-
商品の力で産地応援 「ニッポンエール」詰合せ JA全農2025年4月18日
-
JA共済アプリの新機能「かぞく共有」の提供を開始 もしもにそなえて家族に契約情報を共有できる JA共済連2025年4月18日
-
地元産小粒大豆を原料に 直営工場で風味豊かな「やさと納豆」生産 JAやさと2025年4月18日
-
冬に咲く可憐な「啓翁桜」 日本一の産地から JAやまがた2025年4月18日
-
農林中金が使⽤するメールシステムに不正アクセス 第三者によるサイバー攻撃2025年4月18日
-
農水省「地域の食品産業ビジネス創出プロジェクト事業」23日まで申請受付 船井総研2025年4月18日
-
日本初のバイオ炭カンファレンス「GLOBAL BIOCHAR EXCHANGE 2025」に協賛 兼松2025年4月18日
-
森林価値の最大化に貢献 ISFCに加盟 日本製紙2025年4月18日