北海道5区の衆議院補選の教訓2016年4月25日
昨日の衆議院補選は、野党からみると、京都3区は65%の得票率で圧勝、北海道5区は48%の得票率で惜敗となった。
野党からみて、1勝1敗だが、圧勝と惜敗だから、総合すれば勝利といってもいいだろう。この選挙は、夏の参院選の前哨戦というから、勝負は野党が優勢のままで、持ち越されたことになる。不安な安倍晋三首相は、衆参同日選挙をあきらめたようだ。
野党は、こんどの補選を夏の参院選へむけて、何を教訓にするか。そうして、1強政治から脱却し、日本の政治を活性化するか。
京都3区は、与党が初めから勝ち目がない、として候補者を立てなかった。不戦敗でも、負けは負けだ。
北海道5区をやや詳しく見てみよう。
北海道5区の補選は、自民党の町村信孝元衆議院議長の死去に伴う選挙だった。自民党は、町村氏の女婿の和田義明氏を、候補者にした。同氏は、これまで政治経験がない。だが、弔い合戦という強みがあった。
野党は、政治的には無名の社会福祉士の池田真紀氏を統一候補にして戦った。野党4党の推薦という強みがあった。
この選挙区は、札幌東部の都市部が大半で、一部に農村部がある。市区町村別に和田氏の得票数を、前回選挙のときの町村氏の得票数と比べてみよう。
上の表から、いくつかの特徴がみられる。
和田氏は、前回選挙のときの町村氏の得票数を、軒並み増やしている。ことに江別で多い。ここは、町村農場の「城下町」で、弔い合戦の有利さを発揮した。都市部でも、農村部でも得票数を増やしている。
その例外で、千歳と恵庭では減らしている。ここは自衛隊の町である。これは、安保問題が影響している。
◇
野党が、弔い合戦という不利な状況のなかで、また、無名候補といわれながら、ここまで健闘し、与党に肉薄したのは何故か。
それは、安保問題を正面からとり上げたことにある。だから、5月から南スーダンへ派遣されることが予定されている北海道の自衛隊の隊員と、その家族が、派遣に対して明確に反対する野党に投票したのだろう。
◇
野党が与党に肉薄したものの、結局、勝てなかったのは何故か。
それは、政策のあいまいさにある。与党との差が、はっきりしなかった。安保政策以外の政策では、与野党の差は僅かなものでしかない。弔い合戦に勝つほどの差ではなかった。
TPPは、理念として肯定している。だから、いまの与党のTPPには反対、というだけだ。これでは、農村部では勝てない。
原発も、安全なら、という不確かな条件つきで、再稼動を容認している。これでは、広範な国民の支持は得られない。こんどの補選の教訓は、ここにある。
TPPも原発も、民進党の支持団体である連合のクビキに縛られていて、身動きができないからだ。
◇
野党が連帯して、夏の参院選に勝つには、安保法制に反対するだけでなく、TPPに反対し、原発再稼働に反対して、ことに農村部に多い1人区で圧勝することである。そうすれば、日本の政治が活性化する。
それを妨げているのは、連合である。野党第1党の民進党が、連合のクビキを断つことが勝利の要である。これが補選の教訓である。
(2016.04.25)
(前回 TPP特別委員会の混迷)
(前々回 民進党の綱領が泣いている)
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