わが村は理想社会に最も近い2016年5月9日
自分の村は、人間が永遠の理想とする社会に最も近い、と思っている村民や農協の組合長は、全国に大勢いる。
いまは、残念ながら多くの邪魔があって、理想社会とまでは言えないが、そこへ向かい、村民みんなが、いっしょになって着実に進んでいる、と思っている。その先頭に農協がある。そして、理想社会に最も近い位置にまで到っている。そのように思っている村民は多い。
どういう点で、理想社会に近いか。そして、邪魔をしているものは何か。
村には、億万長者はいない。協同社会だから、経済格差はない。戦前は、大金持ちの地主がいて格差があったが、いまはない。協同社会のトップになって、億万長者になろう、などと考える人はいない。たとい、農協の組合長になっても、億万長者にはなれない。億万長者と比べて、収入は1ケタも2ケタも少ない。
これに対して、町には億万長者がいて、酷い経済格差がある。会社の社長になって、億万長者になろう、と考える人はゴマンといる。そのうち何人かは、実際に社長になって億万長者になる。いまの政治は、格差を広げていて、それが、大問題になっている。
◇
村と町が、対立しているかのように書いてしまったが、それは本意ではない。分かりやすく、と思って書いたまでだ。町にも協同社会があるし、村にも競争社会がある。ここで書きたいのは、村と町の対立ではなくて、協同社会と競争社会との対立である。
協同社会は、平等を理想として格差を否定する。
それに対して競争社会は、平等を否定し、市場競争に至上の価値をおく。だから、競争の必然的な結果としての格差を否定できない。もちろん、格差を解消しようともしない。
ここに、協同社会と競争社会の決定的な対立点がある。
◇
格差問題は、いまの社会の重大問題である。医療や教育にまで格差が広がっている。
この分野は、本来、格差があってはならない分野である。しかし、この分野にも競争原理を広げ、格差を拡大している。その根源に経済格差がある。
金持ちでないと、充分な医療が受けられない。金持ちでないと、高校や大学へ進学できない。そして、貧困が子供の世代に引き継がれる。
これは、日本だけではない。世界中で大問題になっている。
協同社会は、貧困のために医療や教育を受けられない人が、1人でもいる社会になることを拒否する。それが「万人は1人のために」である。
◇
近代社会を切り拓いたフランス革命を引き合いにだすまでもなく、平等は人間社会の理想である。このことは、いまでも変わらない。平等は、村の人たちは勿論、町の人たちにとっても理想である。
そして、この理想へ向かって進むことを邪魔しているのが、今の政治である。
安倍晋三首相は、規制改革会議などを利用して、競争を煽っている。市場原理主義を、あらゆる分野におし広げ、経済的弱者を犠牲にして、富者をますます富ませ、格差を広げようとしている。
それに抵抗する協同社会を否定する。それが農協などの協同組合の解体であり、そのの株式会社化である。そして、TPPである。
だから、村の人たちをはじめ、平等社会を理想とし、協同社会を肯定する多くの人たちは、農協を応援し、TPPに反対している。
農協は、平等社会を実現する世界史的使命を担って、その中心に立っている。
(2016.05.09)
(前回 北海道5区の衆議院補選の教訓)
(前々回 TPP特別委員会の混迷)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(126)-改正食料・農業・農村基本法(12)-2025年1月25日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(43)【防除学習帖】第282回2025年1月25日
-
農薬の正しい使い方(16)【今さら聞けない営農情報】第282回2025年1月25日
-
JAしれとこ斜里と連携 冷凍食品に本格参入 カルビー2025年1月24日
-
パーパスを実現する「地域」と「差別化」の意味 静岡で第4セッション【全中・JA経営ビジョンセミナー】(1)2025年1月24日
-
パーパスを実現する「地域」と「差別化」の意味 静岡で第4セッション【全中・JA経営ビジョンセミナー】(2)2025年1月24日
-
【JA女性組織活動体験発表】(4)私のやる気は無限大 JA・地域・女性会の仲間と共に 和歌山県 JA紀州女性会 椎崎ひろ子さん2025年1月24日
-
【JA女性組織活動体験発表】(5)人と人とをつなぐ架橋~フレッシュ16いつまでも~ 愛媛県 JA越智今治女性部 德丸和江さん2025年1月24日
-
【JA女性組織活動体験発表】(6)仲間との絆を次世代につなげよう 熊本県 JAやつしろ女性部 山住久美子さん2025年1月24日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】サツマイモを消せば世論が収まると考えたお粗末さ2025年1月24日
-
TNFDの環境開示は何から始めるか 農林中金と八千代エンジニヤリングがセミナー2025年1月24日
-
JPIセミナー 農産物の環境負荷低減の見える化とJ-クレジット制度 今後の方向性を解説2025年1月24日
-
鳥インフル 米アラバマ州など3州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月24日
-
「農山漁村」経済・生活環境プラットフォーム 設立記念シンポジウム開催 農水省2025年1月24日
-
(419)芸能アイドルと「卒論」【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年1月24日
-
福岡県産ブランドキウイフルーツ「博多甘熟娘」フェア 24日から開催 JA全農2025年1月24日
-
ブルボン×ニッポンエール「フェットチーネグミPREMIUM長野県産ぶどう三姉妹味」新発売 JA全農2025年1月24日
-
JAしれとこ斜里と原料ばれいしょの安定調達で連携 カルビーグループ2025年1月24日
-
「一村逸品大賞」受賞商品集めた特設ページ開設 JAタウン2025年1月24日
-
「素直な、おかか。かき醤油」 新発売 マルトモ2025年1月24日