悪夢の防空訓練ふたたび2017年7月24日
政府は、北朝鮮のミサイルが日本を襲うことを想定して、防空訓練を行っている。
防空訓練といっても、多くの国民は知らないだろう。だが80歳以上の人なら、誰でも知っている。この前の戦争中のことだが、敵の飛行機が日本を爆撃するから、それに備えるために訓練をした。それが防空訓練である。
訓練は、防空壕という地下室を作って、なるべく早くそこへ逃げ込む訓練だった。また、火事に備えて水をバケツでリレーし、火にかけて消す訓練もした。
しかし、それでも、実際に爆撃されたとき、多くの都市で多くの人が死んだ。農村でも多くの人が死んだ。
戦争中の悪夢である。
こうした訓練を、いま、政府は一部の地域で、すでに行っている。
いよいよ日本は戦争の匂いが濃くなってきた。安倍晋三首相は、共謀罪法を作り、安保法制を作り、平和憲法を捨てて、戦争へ向かって走り出そうとしている。
上の図は、内閣官房のホームページで発表しているJアラートとやらの運用説明図である。
ここでは、あからさまに北朝鮮を名指しにしている。
◇
政府は、いくつかの地域で防空訓練を始めている。北朝鮮のミサイルが日本に落ちることを想定して、それに備えた訓練である。そのときは、Jアラートで住民に知らせる。そして、近くの頑丈な建物や地下への避難を訓練させる。
戦時中も同じような訓練をした。はじめにサイレンを鳴らす。集落ごとにいくつかの隣保班というのがあって、その班長がメガホンで全家庭に知らせる。各家族からは必ず1人が戸外へ出て、班長の指揮に従って防空壕という頑丈な地下室を作り、そこへ避難したり、火事を消したり、などの訓練をした。
もしもサボったりしたら、銃後の任務を果たさない非国民という汚名をきせられて、白い目で見られた。密告も奨励された。こうして、国民の心を委縮させ、日本は軍事体制を強化して、疑心暗鬼の暗い監視社会に入っていった。そうした中で、警察や軍部がうろつき回り、威張りくさっていた。
◇
もしも、北朝鮮が日本に対してミサイル攻撃をする、という状況なら、被害を最小にするために、そうした訓練は必要だろう。
しかしその前に、政府はなすべきことがある。政府は、こうした状況にしないように、もっと懸命な政治的、外交的努力をすべきである。
だが、政府は懸命な努力をしていない。北朝鮮の近海で米韓合同の軍事演習に参加している。それに対して北朝鮮は、日本を敵国とみて、いざとなれば日本をミサイルで攻撃するといっている。そうなれば政府は、北朝鮮のミサイルの発射基地を攻撃したいようだ。
事態はエスカレートするばかりである。懸命な政治的、外交的努力をしているとは、とうてい思えない。
◇
こうした中での、北朝鮮を仮想敵国にした防空訓練である。準戦時体制といっていい。いきなり戦時体制にするのではなく、戦時体制にする前に、戦時になってもいいように、体制を整えておこうというのである。体制だけではない。国民の心を麻痺させて、戦争へ向かわせようというのだろう。
戦争反対の勢力を未然に押しつぶすための共謀罪法は、すでに整った。安保法制で海外派兵の体制も整った。いつでも戦争できる。それに備えた国内での防空訓練もしてある、といいたいのだろう。そのための防空訓練である。
安倍首相が進もうとしている軍国主義への道は、絶対に閉ざさねばならない。
◇
<追記>
昨日の仙台市長選で野党の統一候補が当選した。東京に続く経済的弱者の勝利である。
また、今日から国会審議が始まる。野党による、安倍首相の好戦性と公私混同の徹底的な暴露を、弱者は期待している。
(2017.07.24)
図の出所は「内閣官房」...
http://www.kokuminhogo.go.jp/shiryou/nkjalert.html
(前回 安倍内閣の隠蔽体質を暴け)
(前々回 日欧EPAは格差を拡大する)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(2)今後を見据えた農協の取り組み 営農黒字化シフトへ2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(3)水田に土砂、生活困惑2025年1月23日
-
災害乗り越え前に 秋田しんせい農協ルポ(4)自給運動は農協運動2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(1)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(2)2025年1月23日
-
人づくりはトップ先頭に 第5次全国運動がキックオフ 150JAから500人参加【全中・JA人づくりトップセミナー】(3)2025年1月23日
-
元気な地域をみんなの力で 第70回JA全国女性大会2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(1)新しい仲間との出会い 次世代へつなげるバトン 青森県 JA八戸女性部 坂本順子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(2)この地域を、次世代に繋ぐ、私たち 山梨県 JA南アルプス市女性部 保坂美紀子さん2025年1月23日
-
【JA女性組織活動体験発表】(3)私たちの力で地域をささえ愛 愛知県 JA愛知東女性部 小山彩さん2025年1月23日
-
旧正月【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第325回2025年1月23日
-
地元産米を毎月お届け 「お米サポート」スタート JAいずみの2025年1月23日
-
定着するか賃金引上げ 2025春闘スタート 鍵は価格転嫁2025年1月23日
-
鳥インフル 米アイオワ州など5州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
鳥インフル 英シュロップシャー州、クルイド州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2025年1月23日
-
スーパー売り上げ、過去最高 野菜・米の価格影響 「米不足再来」への懸念も2025年1月23日
-
福島県産「あんぽ柿」都内レストランでオリジナルメニュー 24日から提供 JA全農福島2025年1月23日
-
主要病虫害に強い緑茶用新品種「かなえまる」標準作業手順書を公開 農研機構2025年1月23日
-
次世代シーケンサー用いた外来DNA検出法解析ツール「GenEditScan」公開 農研機構2025年1月23日
-
りんご栽培と農業の未来を考える「2025いいづなリンゴフォーラム」開催 長野県飯綱町2025年1月23日