東京の民意は野党にある2017年10月23日
総選挙の結果が出た。マスコミは、自民党の圧勝といっている。自公の与党が3分の2を超えたから、改憲が具体的な政治課題になる、ともいっている。
しかし、国民の圧倒的多数が自民党を支持したのだろうか。そうではない。国民の3分の2以上が、9条の改憲を望んでいるのだろうか。そうではない。
まだ、全国の選挙結果の最終集計が終わっていないので、ここでは最終集計が終わった東京都の結果をみてみよう。都民は自民党を圧倒的に支持していないし、9条改憲を望んでいない。
はじめに、国民の意志を比較的忠実に反映する比例区を見よう。結果は次の通りである。
上の表で示したように、自公の与党への投票率は41.3%に過ぎない。圧勝にはほど遠い。残りの58.7%が野党を支持している。この結果、当選者数は、与党が8人、野党は与党より多い9人である。得票率よりも、差が小さくなっているが、これは小政党に不利な比例区制度の限界である。
つぎに、小選挙区の結果を見よう。
上の表の上段は、実際の選挙結果である。自民党の圧勝といっていい。与野党の比は、20対5である。野党は5分の1である。
つぎに、図の下段を見てみよう。これは、もしも野党の選挙協力で候補者の一本化が出来ていたら、結果はどうなったか、というものである。結果は逆転して野党が20、与党が5になる。実に、野党は5分の4を占める。
◇
以上は、集計が終わった東京だけを見たものだが、全国の中間集計をみると、東京の結果とそれほど大きな違いはない。
与党が勝った原因は、野党の四分五裂にある。それが小選挙区制で誇張された。ちなみに、与党の選挙協力は、東京でもみられるように、完全なものだった。つまり、与党の候補者は完全に一本化されていた。その力が小選挙区制で充分に発揮された。
このことは、逆にいうと、野党の敗因は野党の四分五裂だったことになる。ことに、第1野党だった民進党を分裂させた前原誠司代表と、詭計を使ってそそのかした希望党の小池百合子代表にある。彼らは、安倍晋三首相の一強政治に反対するようなことを言って、しかし、安倍一強政治を補強した。罪は重い。
◇
経済的強者のための安倍一強政治が補強されたからといって、農業者、労働者、中小企業実主など、国民の99%を占める経済的弱者は諦めるわけにはいかない。
弱者は、ことに希望党が弱者のための政治活動をするか、をたえず注視しなければならない。そして、弱者を裏切るようなことがあれば、詭計によって希望党議員になった人たちの反乱を促すしかない。
国民の圧倒的多数の弱者は、その反乱を支持するだろう。ここに、選挙後の政治の焦点がある。
(2017.10.23)
(前回 反省のない自公政権)
(前々回 総選挙の立候補状況にみる希望の党)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
備蓄米 「味に差なく、おいしく食べてほしい」 江藤農相2025年4月24日
-
関税発動で牛肉の注文キャンセルも 米国関税の影響を農水省が分析2025年4月24日
-
トランプ関税で米国への切り花の輸出はどうなる?【花づくりの現場から 宇田明】第58回2025年4月24日
-
【JA人事】JA北オホーツク(北海道)吉田組合長を再任2025年4月24日
-
三島とうもろこしや旬の地場野菜が勢ぞろい「坂ものてっぺんマルシェ」開催 JAふじ伊豆2025年4月24日
-
農林中金 ロンコ・インベストメント・マネジメントに資本参画 不動産分野の連携強化2025年4月24日
-
積雪地帯における「麦類」生育時期 推定を可能に 農研機構2025年4月24日
-
日本曹達 微生物農薬「マスタピース水和剤」新たな効果とメカニズムを発見 農研機構2025年4月24日
-
棚田の魅力が1枚に「棚田カード」第5弾を発行 農水省2025年4月24日
-
みずほ銀行と食農領域の持続可能な発展に向け戦略的提携 クボタ2025年4月24日
-
【人事異動】兼松(6月1日付)2025年4月24日
-
日本生協連「フェアトレード・ワークプレイス」に登録2025年4月24日
-
旭松食品「高野豆腐を国外へ広める活動」近畿農政局 食の「わ」プログラムで表彰2025年4月24日
-
群馬県渋川市の上州・村の駅「お野菜大放出祭」26日から 9種の詰め放題系イベント開催2025年4月24日
-
JA蒲郡市と市内の飲食店がタッグ 蒲郡みかんプロジェクト「みかん食堂」始動2025年4月24日
-
適用拡大情報 殺菌剤「バスアミド微粒剤」 日本曹達2025年4月24日
-
倍率8倍の人気企画「畑でレストラン2025」申込み開始 コープさっぽろ2025年4月24日
-
農業・食品産業技術開発の羅針盤「農研機構NARO開発戦略センターフォーラム」開催2025年4月24日
-
雪印メグミルク、北海道銀行と連携「家畜の排せつ物由来」J-クレジット創出へ酪農プロジェクト開始 Green Carbon2025年4月24日
-
山椒の「産地形成プロジェクト」本格始動 ハウス食品など4者2025年4月24日