与野党逆転の試算2017年10月30日
総選挙は終わったが、政治が終わったわけではない。政治は日常的に続く。そして経済的弱者の苦悩は、毎日つづく。
総選挙が終わり、政治の舞台が国会に移り、国会議員が主役になったように見える。しかし、そうではない。舞台は日本社会の全体であって、演じているのは、主権者の全ての国民である。
ここで、あらためて思い出そう。政治は国民の、国民による、国民のためにある。国会議員は代議員に過ぎない。
さて、こんどの総選挙で、国民は政治に何を求めたのか。国会議員に何を求めたのか。それを考えてみよう。安倍晋三首相による一強政治の継続を求めたのかどうか。
国民の多くは、決して安倍一強政治の継続を求めなかった。このことを、以下で示そう。
総選挙の結果は、国民の大多数が、安倍政権を圧倒的な多数で信任したようにいう。だが、そうではない。与党が衆議院で圧倒的な多数を占めたのは事実である。しかし、これは小選挙区制の幻術によるものである。それに加えて与党の完璧に近い選挙協力の結果である。圧倒的多数の国民が安倍政権の継続を求めたわけではない。以下で述べるように、過半数の国民は、安倍一強政治の継続に反対の意志を表したのである。
野党は、与党の選挙協力で敗北したことを、悔やんでいてもしかたがない。今後、与党を手本にして、野党も選挙協力に、もっと努力をすればいいのだ。それには、選挙の間際になってからでは遅い。日常的な努力が必要だ。今から始めねばならぬ。
野党が完敗したもう1つの原因は、民意をゆがめる小選挙区制だ。しかし、それを嘆いてもしかたがない。小選挙区制を、せめて中選挙区制にするにしても、今すぐには無理だろう。今すぐに始めても数年、あるいは十数年かかるだろう。そのあいだ、弱者の苦難を放置するのか。そんなことは出来ない。
だから、野党は小選挙区制のもとでも、安倍一強政治を終わらせることに全力を尽くさねばならぬ。そして、それは以下でみるように、野党も与党に見習って選挙協力をすれば、充分に可能である。
上の図は、こんどの総選挙の小選挙区選挙で、与党がどれほど支持されたか、を示したものである。
図のなかの黒字で「与」になっている選挙区は、与党候補が過半数の得票を得た選挙区である。赤字で「野」のところは、与党の候補の得票が半数以下だった選挙区である。つまり、与党以外の野党候補と無所属候補の得票数の合計が、過半数だった選挙区である。
赤字の方が多く、153選挙区である。黒字は136選挙区に過ぎない。つまり、野党が選挙協力をして候補者を1人にしぼっていたなら、野党は153勝136敗負で勝ちになった。だが、実際にはこれとは逆で、野党は66勝223敗の完敗だった。
もしも、野党が選挙協力をしていれば、小選挙区でも野党が勝ったのである。つまり、野党の選挙協力の不成功が、勝てる力があったのに負けた原因である。
上の表は、以上のことを整理し、比例区も含めて衆議院の全体像を示したものである。
比例区は比較的忠実に民意を反映しているので、試算は実績と同じにした。つまり89勝87敗で野党が勝っていた比例区の実績を小選挙区の試算に加えた。そうして、衆議院の全体の勢力分布を試算した。
その結果は、小選挙区と比例区を合わせて、242勝223敗で野党の勝ちになる。もちろん安倍首相は退場して政権交代になる。
つまり国民は、それだけの力を野党に与えたのに、野党は互いにいがみ合って分裂劇に明け暮れ、その力を結集できずに、分散させて力を弱め、過半数の国民の期待を裏切ったのである。
◇
最後に、もう一度強調しておこう。国民はこんどの総選挙で安倍政権を信任したわけではない。政権交代を求めたのである。
それが出来なかった責任は、野党を分裂させた前原誠司民進党代表と小池百合子希望の党代表が負うべきものである。2人が、論理的思考の基礎的な訓練不足を反省するだけでは済まされない。政治的影響は計り知れないほどに大きい。
2人は、安倍一強政治を継続させたことで、弱者の苦難を放置したのである。この責任を自覚し、厳しく反省すべきである。
また、2人に追随した人たちにも責任がある。汚名をそそぐには、深く反省して野党協力のために、より一層の努力を傾けるしかない。過半数の国民は、それを期待している。
(2017.10.30)
(前回 東京の民意は野党にある)
(前々回 反省のない自公政権)
(「正義派の農政論」に対するご意見・ご感想をお寄せください。コチラのお問い合わせフォームより、お願いいたします。)
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】オリーブにオリーブ立枯病 県内で初めて確認 滋賀県2024年11月15日
-
農業者数・農地面積・生産資材で目標設定を 主食用生産の持続へ政策見直しを JAグループ政策要請①2024年11月15日
-
(410)米国:食の外部化率【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月15日
-
値上げ、ライス減量の一方、お代わり無料続ける店も 米価値上げへ対応さまざま 外食産業2024年11月15日
-
「お米に代わるものはない」 去年より高い新米 スーパーの売り場では2024年11月15日
-
鳥インフル 米オレゴン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月15日
-
「鳥インフル 農水省、ハンガリー2県からの家きん・家きん肉等の輸入を14日付で一時停止」2024年11月15日
-
「鳥インフル 農水省、ハンガリー2県からの家きん・家きん肉等の輸入を13日付で一時停止」2024年11月15日
-
鳥インフル 米ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月15日
-
南魚沼産コシヒカリと紀州みなべ産南高梅「つぶ傑」限定販売 JAみなみ魚沼×トノハタ2024年11月15日
-
東北6県の魅力発信「食べて知って東北応援企画」実施 JAタウン2024年11月15日
-
筋肉の形のパンを無料で「マッスル・ベーカリー」表参道に限定オープン JA全農2024年11月15日
-
「国産りんごフェア」全農直営飲食店舗で21日から開催 JAタウン2024年11月15日
-
農薬出荷数量は3.0%減、農薬出荷金額は0.1%減 2024年農薬年度9月末出荷実績 クロップライフジャパン2024年11月15日
-
かんたん手間いらず!新製品「お米宅配袋」 日本マタイ2024年11月15日
-
北海道・あべ養鶏場「旬のりんごとたまごのぷりん」新発売2024年11月15日
-
日本各地のキウイフルーツが集まる「キウイ博」香川県善通寺市で開催2024年11月15日
-
福島県浜通りの「農業副産物」を知る イノベ地域の価値発掘ワークショップツアー開催2024年11月15日
-
水稲栽培の課題解決「肥料設計セミナー」宮城県栗原市で開催 リンク2024年11月15日
-
東北産牛乳を買ってエールを送ろう「買って応援キャンペーン」実施2024年11月15日