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【森島 賢・正義派の農政論】そして、鳥がいなくなった2018年8月8日

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【森島 賢】

 東京ではこの夏、鳥の鳴き声が聞こえなくなった。
 先日、山梨県へ行ってきたが、同様だった。姿も見えない。前橋の郷里の友人たちも、同じだという。全国でも同じだろうか。
 テレビを見ていたら、異常な暑さが続き、熱中症による死者は、過去最多の勢いで増えているという。
 鳥の声が聞こえないのは、異常な暑さが原因ではないか。地球温暖化が予想した以上に、急速に進んでいるのではないか。
 あのレイチェル・カーソンが言った、鳥の鳴かない「沈黙の春」は、春から夏に変わり、予想以外の原因で、予想以外に早く到来したようだ。
 鳥は沈黙することで、静かに、しかし雄弁に、人間に対して重大な警告をしているのではないか。人間たちは、鳥たちに応えねばならない。

 鳥の声だけではない。8月になったのに、セミの声も聞こえない。蝶もめっきり少なくなった。やがて花も咲かなくなるのだろうか。鳥やセミや蝶が住めないところに、人間が住めるはずがない。
 東京や山梨や前橋だけではない。全国各地の友人たちも、そう言っている。だから、全国的な異常ではないか。いや、地球規模での異常、つまり、地球温暖化が原因ではないか。

 

 

 地球温暖化から最も影響を受けるのは、自然を相手にする農業である。農業は、地球上のどこででも営んでいる。だから、地球が温暖化すれば、世界の農業は一変する。
 専門家の試算によれば、アメリカの穀倉地帯は砂漠になるし、シベリアの永久凍土地帯は穀倉になるという。
 しかし、その前に人間が死に絶えるのではないか。そのことを、鳥たちが身をもって警告しているのではないか。

 

 

 鳥の鳴き声が聞こえなくなった原因である地球温暖化の原因は何か。炭酸ガスの放出量が多すぎたことが原因だという。だから、炭酸ガスの放出量を減らせばいい、という。
 しかし、それは表層しか見ていない。それでは、深層からの解決策は見出せない。もっと深層を見なければならない。
 鳥の鳴き声が聞こえなくなった原因である地球温暖化の原因の、そのまた深い層にある原因は何か。

 

 

 それは、鳥やセミや蝶を犠牲にし、さらに人間さえも犠牲にして、ただひたすら利益を追求する巨大資本にある。彼らの信奉する市場原理主義にある。
 彼らは、市場が炭素ガス過多を適正な量に戻す復元力を持っていないことに気づいているだろう。しかし、利益の追求を至高なことと考えて、それを見ようとしない。それが巨大資本の本性である。
 この反社会的な本性を反省せよ、と言っても、巨大資本は、聞く耳を持っていない。巨大資本の側に立つマスコミに、この不都合な事実を見よ、と言っても、見る目を持っていない。
 だから、治すには市場以外の力、経済以外の力、つまり政治の力で強制するしかない。
 そうした政治の力は、犠牲にされようとしている労働者や農業者や中小企業主たち、つまり経済的弱者だけが持っている。

 

 

 春がくれば鳥がさえずり、花が咲く、夏になればセミが歌うし、蝶が舞う、そうした環境に戻さねば、これから人間は生きていけい。
 そのために、労働者や農業者や中小企業主たちは、いまこそ力を合わせ、その力を発揮しなければならない。
(2018.08.08)

(前回 二大政党論の破綻と忖度政治の横行

(前々回 安倍内閣の奇妙に高い支持率

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