【森島 賢・正義派の農政論】野党の退潮2019年4月8日
昨日の統一地方選挙は、野党の負け、といっていいだろう。
この選挙は、7月の参議院選挙の結果を占うものとみられていた。そこでの敗北である。国政を覆う暗雲が、これまで以上に深まったように思える。
それは、こんど唯一の与野党対決といわれた北海道知事選に、典型的にみられた。野党の力が十分に発揮できなかったのである。
北海道知事選をやや詳しくみてみよう。
当選した鈴木直道候補を推薦したのは、自民、公明、大地の3与党だった。一方、落選した石川知裕候補を推薦したのは、立憲、国民、共産、自由、社民の5野党だった。
選挙の結果を得票率でみると、鈴木候補が63%、石川候補が37%だった。鈴木候補の大勝といっていい。
これを北海道の直近の国政選挙だった一昨年10月の衆議院選挙の政党別の得票率と比べてみよう。
比例区の政党別の得票率をみるのだが、勝った3与党の得票率は、合計して48%だった。一方、負けた5党をみてみよう。5党の前身である立憲、希望、共産、社民の4野党の得票率は、合計して49%だった。わずかではあるが、野党の得票率のほうが多かったのである。
この政治状況が続いていたら、野党推薦の石川候補が勝っていただろう。しかし、負けた。
ここで分かることは、最近の野党の退潮である。
◇
ここには、野党に対する国民の厳しい目がある。それが、こんどの地方選に結果したのである。
国民の野党に対する厳しい目は、野党のどこに向けられていたのか。
それは、いまの野党の、政府・与党に対峙する政策である。多くの国民には、それが見えてこない。野党は政府・与党の道義的な不祥事だけを追及している。野党が政権を取れば、もっと道義的な政治を行う、というだけのようだ。政治に道義は不可欠のものだ。だが、それだけでいい、というわけではない。
国民が野党に期待しているのは、そんな、いわば枝葉末節のことではない。いまの政府・与党の政治によって、国民がどれほどの苦難に陥っているかを白日のもとにさらけ出し、そうした政治を糾弾することである。市場原理主義の政治のもとで弱者が、いかに苦しめられているか。そうした苦悩を取り払う政治の要求を、国民は野党に求めている。だが野党は、そのことが分かっていない。
◇
政治は国会や政府の中にだけにあるのではない。国民の中にある。こんどの地方選での国民の審判は、そのことを示している。
いま、野党にとって何より重要なことは、3月後に迫っている参議院選での選挙協力である。国民に根差した選挙協力である。それが、いっこうに進んでいない。党利党略、個利個略しか考えていのだろうか。それでは、選挙に負けて、市場原理主義の政治が今後もつづく。それでは、弱者から見放される。このままでは、退潮が止められないだろう。
野党は、このことに深刻な危機感を持つべきではないか。
(2019.04.08)
(前回 食糧安保政策の科学)
(前々回 食糧安保政策を検証せよ)
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