【森島 賢・正義派の農政論】野党の国会戦略2019年10月15日
国会論争が始まった。これから華々しい議論が繰り広げられるだろう。しかし、華々しいだけのアダ花ではだめだ。美味豊穣な果実として結実させねばならない。
野党にとって、果実とは何か。それは、政府・与党を追い詰めて、日ごろの鬱憤を晴らすことか。そうではあるまい。大向こうを唸らせ、喝采を浴びれば、それでいいのか。そうでもあるまい。多くの国民の喝采を、つぎの選挙で投票に変え、それを政権交代に結実させて、野党が目指す政治を実現することではないか。それを忘れていないか。
国会で、野党が華々しい論戦で、政府の不正疑惑を追及するのはいい。しかし、その結果、政府が公明正大な政治を行えばいいのか。そうではないだろう。善良な庶民を苦しめる悪代官に鉄槌を下し、清廉潔白な政治を行う、というだけでいいのか。それだけなら、不純な魂胆をもつ総会屋や悪徳弁護士と、あまり変わらない。国民は、それほど愚かでない。
いったい、野党には政府・与党に代わるどんな政策があるのか。それを国会という大舞台で、国民に示さねばならない。そうして、多くの国民の支持を求めねばならない。
野党が政府・与党の政治を糺すべき根本問題は、いくつかある。それらは、公明正大で清廉潔白を求める、というだけではだめだ。
◇
消費増税について、大野党である「立憲」と「国民」は、政府に対してどんな追及をしているか。それは、増税は肯定するが、今はその時期ではなかった、というものである。つまり、大野党は消費増税に賛成なのである。
これは7年前に、その前身である民主党が自民党と公明党との3党間で合意したことである。それを、いまだに破棄しないで遵守している。
大野党には、「過ちては改めるに憚ることなかれ」という古人の教えは通用しないようだ。
これでは、国会での大野党の消費増税についての追及は、茶番にしかならない。国民は、シラケテ見ているしかない。
◇
ここで思い出したいのは、前回の7月の参院選である。
それは、新しくできた「れいわ新選組」が、228万票もの大量の得票を得たことである。その原動力になったのは、消費税廃止という公約を明確に掲げたことである。
これで分かったことは、消費税に対する国民の反対の強烈さである。そのことを大野党は、未だに分かっていない。国民が政治に何を要求しているか、が分かっていない。
だから、消費税に代わる財源をどうするのか、といわれると、たじたじになってしまう。税の体系を根本的に、全体的に見直すだけでなく、財政収支を含めた財政を、全面的に改革するのだ、という意気込みがない。それには、政権交代しかない、という気迫がない。
だから、国民は、シラケテ見ているしかない。
◇
消費増税だけではない。格差問題、農業問題、原発問題、日米関係などなど。これらの重要政策について、野党の政策は、政府・与党と根本において、どこが違うのか。それを国会の場で、明確に示さねばならない。
それは、日本の政治の活性化を願う、心ある自公の支持者も期待していることだろう。
(2019.10.15)
(前回 香港が問う自由と民主主義)
(前々回 文政権の岩盤支持層)
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