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【森島 賢・正義派の農政論】自由・民主主義と格差2019年12月16日

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【森島賢】

 「自由・平等・博愛」は、フランス革命の理念だった。いまの社会改革の理念は、「自由と民主主義」に変わったようだ。
 博愛は別稿に譲るとして、平等が表面から消えた。民主主義の陰に隠れたといいたいのだろうが、しかし、平等は、陰に隠しておいていい程の軽いものではない。
 しばしば、平等は自由と民主主義にとって不都合なことがある。だから、そのことを隠しておきたいのではないか。
 いま、世界は平等を中心部に置いて激動している。つまり、格差問題である。だから、平等を復活させねばならぬ。
 平等や格差問題に対する姿勢を曖昧にした改革運動は、国民からの確固とした支持は得られない。いずれ頓挫するだろう。

 先週12日の英国総選挙は、保守党の大勝だった、と評価されている。単独で過半数の議席を得たからである。しかし、得票率でみると保守党は44%で、半数に届かなかった。この大勝は、小選挙区制のもとでの戦術的勝利といっていい。
 先月24日の香港区議選でも、小選挙区制による歪みがあったが、ここでは述べない。

 さて英国だが、選挙の争点はEUからの離脱問題だった。離脱派の主張は、英国がEUに加盟していることで、移民が増え、そのため賃金が下がり、失業が増えた、だから離脱しよう、というものである。
 これは、まぎれもなく経済的弱者である労働者の主張であり、格差問題の告発である。EU離脱問題の底流には、この格差問題がある。
 これを保守党が主張して、選挙に勝った。一方、労働党は労働者の主張に反対して、選挙に負けた。

 いったいこれは何だ。保守党は弱者党に、労働党は強者党に、名前を変えたらどうか。世間の誤解を解くための、不満を込めた提案である。
 日本をみても分かるように、かつての革新は、いまや強者に利用されるだけの存在になってしまった。もはや、革新ではない。

 いまの政治は、保守対革新で動いているわけではない。弱者対強者の対峙のなかで動いている。このように見ないと、事態を見誤る。
 このことを、こんどの英国総選挙の結果は示している。それと同時に、44%という半数に満たない得票率で弱者党である保守党が勝ったことを考えるとき、弱者対強者の対峙は、今後も通奏低音のようにして、社会の中で絶えることなく、ときには弱く、そして、ときには強く響き続けるだろう。それが、世界の潮流になっている。

 米国はどうか。トランプ大統領は岩盤的な支持基盤をもっている。それは、弱者の支持である。自由化によって製造業が海外へ流出し、そのため失業した労働者である。また、低価格によって苦難を受けている農業者である。
 しかし、だからといって弱者だけでなく、強者の支持も得られなければ政権を維持できない。
 トランプ大統領は、弱者と強者との間で揺れ動いている。保守の共和党と革新の民主党との間で揺れているわけではない。

 米国の民主党の中をみると、心ある党員は、弱者のための社会主義者を名乗っている。1950年代に吹き荒れたマッカシー旋風は、ようやく克服されたようだ。
 来年の大統領選の予備選で、民主党には社会主義を主張する候補が複数いて、そのうちのウォーレン教授が、世論調査による支持率のトップを走っている。

 主題へ戻ろう。「自由と民主主義」に、とって、格差とは何か。格差とどのように相対するか。
 自由は、素朴に考えると、人間にとって必要不可欠なものである。束縛を好む人はいない。しかし、強者が唱える自由、ことに経済哲学としての自由が格差を生み出した元凶ではないのか。弱者は、賃金を下げる自由、非正規労働を際限なく広げる自由を否定している。

 また、民主主義はカネに支えられていないか。つまり、カネ持ちの強者のための政治哲学になっていないか。
 格差社会にあって、民主主義を唱えるとき、それが貧困にあえぐ弱者のためのものか、それともカネ持ちの強者のためのものか、が鋭く問われている。そこを曖昧にした政治家や社会運動家は、やがて社会から排除されるだろう。
 問題の焦点は、自由と民主主義か否か、ではない。それが弱者のためものか否か、である。つまり、格差問題である。
(2019.12.16)


(前回  高齢者に医療の抑制を強要する安倍政権

(前々回 香港が目ざす自由と民主主義の内実は何か


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